ユスラウメ
この間の土日、ひさしぶりに実家に帰った。実家の庭は相変わらすいろいろな花が咲いていた。そんな花を見渡しているうちに、とても懐かしいものを見つけた。ちいさな、ちいさなユスラウメの木だ。ユスラウメといってもご存じない方が多いと思うが、花は梅のようで、サクランボのような小さな赤い実をつける植物だ。私が幼いころ住んでいた家には、大きなウスラユメの木があって、梅雨の時期が近づくとたくさんの赤い実をつけていた。ちょうど、私の家の前が小学校と中学校の通学路であったので、彼らのちょっとしたおやつになっていた。それを見ていた幼いころの私もいつの間にかその味を覚えていた。その後、私も引越し、ユスラウメの木も切られてしまった。
25年ぶりのユスラウメの実の味は、一瞬にして私の遠い昔の記憶を呼び起こしてくれた。少しだけ強い酸味と、かすかな甘み、そうそう、この味だった。サクランボももちろん悪くないが、この味のほうが私は好きだ。初夏の味とでもいうのだろうか。
誰が植えたわけでもない。おそらくは、鳥が種を運んできて、庭木の間から、かすかな光を頼りに芽を伸ばし、風雨に耐えながら葉を出し、花を咲かせ、実をつけた一本のユスラウメ。生命のしたたかさと、幼少期の思い出を私に与えてくれた。
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