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南三陸諸行無常②

【 3 釜石・吉浜、時は流れ命は移ろい】

釜石は鉄の町である。今は高炉の火は消えたけど、今でも新日鉄の工場があり、鉄鋼製品の加工を行っているそうだ。 釜石駅前にクルマを止めて、町を散歩する。そんなに大きな町ではないが、随所に製鉄所の景気のよかった頃が偲ばれる。面白い建物を見つけた。平屋の長屋みたいな建物であるが、ハーモニカのように細かく区切られ、そのひとつひとつがスナックや小料理屋になっているのだ。どの店も客が10人も入ればいっぱいになりそうな小さな店だが、それぞれ思い思いに看板をあげ、店内を飾っている。見ていて飽きないつくりだ。
 釜石駅前に戻り、元橋上市場のビルに入る。新鮮な海の幸がところせましと並べられ、なかなか面白かった。鮭が一匹まるごとでも思ったより安く、つい手が出そうになる。その中の店で刺身定食を食べる。イカが透き通っていて、甘みがありうまかった。
 釜石の市街地を離れ、45号線を南に向かう。リアス式海岸の複雑な地形のためか、海岸沿いではなく山の中を走っている。時々入り江のそばを走る、すると漁港と小さな集落があるそして山という感じである。景色がよく楽しく走ることができた。
 鉄の博物館に行った。駐車場に「ひょっこりひょうたん島」の歌碑がある。なぜだろうと受付で聞いてみると、釜石市は井上ひさしゆかりの地であるそうだ。そういえば、「吉里吉里人」の吉里吉里は釜石の少し北にある。博物館内の展示には、高炉の仕組み、製鉄の歴史などがあってなかなか面白かった。
 再び45号線を大船渡に向かって南下する。途中の吉浜(大船渡市)で一休みする。コンビにもスーパーマーケットもないような漁村なので、駅の駐車場にクルマを止める。周辺地図があって、見てみると近くに石川啄木の歌碑があるらしい、さっそく駅でおしゃべりしていたおばさんに道を聞いて行ってみることにする。歌碑は、少しわかりにくい場所にあった。中学校の修学旅行で立ち寄ったそうである。とうぜん彼の時代の修学旅行はひたすら歩いた。盛岡市近くの渋民生まれの彼は、この修学旅行ではじめて海を見たらしい。海を見て啄木は何を思っただろうか。  
歌碑のすぐ近くに海岸があるので行ってみた。小さな川があり、海に注いでいた。三陸海岸は山と海が迫っているせいか、流れは速い。よくみるとたくさんの魚が川をさかのぼっている。よく見ると鮭だ、この川で生まれた鮭が、産卵のために川をさかのぼっているのだ。流れに負け押し戻される鮭も、あきらめずに川をさかのぼろうとしている、鮭たちの体を見ると、たくさんの傷がついている。なかには、産卵を終えたのだろうか、力なく川の中を漂っている鮭もいる・・・生きているのだろうか、見てみるとひれと口を時々思い出したように動かしている、明日の朝には生きているのだろうか。近くには力尽き、河原に打ち上げられている鮭もいる。数千キロの旅を続けて、最後に故郷に帰ってきて、待ち受けている運命が死か、彼らはそんな運命を知っているのだろうか?もし運命を知っているなら、それでも力をふりしぼって、傷つきながら川をさかのぼることができるのか?河原に座っていろいろなことを考えた。

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