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維新の風に吹かれて~山口紀行⑦

【13 関門海峡】

 壇ノ浦の古戦場のすぐそばに、関門国道トンネルの人道口がある。歩いて、または自転車で九州に渡れるのだ。エレベータを降りて地下に入る。思ったよりも明るいが、幅は狭く、3メートルくらいだろうか。人通りは多い、どういうわけか、布刈から壇ノ浦へ歩く人は多いが、私のように壇ノ浦から布刈へ歩く人は少ない。ちょうど中間付近に山口県と福岡県の県境があり、プレートがある。向こうから来た熊本の大学生カップルとお互いに写真を撮りあう。再びエレベータを上ると、今度は北九州市の布刈である。このあと、重要文化財になっている門司港駅を見て、電車で下関に戻った。

 【終章 寝台特急「あさかぜ」】

 下関駅は立派なつくりだ。かつては、関釜連絡線(下関~釜山(現在 プサン)を通じて、京城(ソウル)、平壌(ピョンヤン)、中国各地、そしてシベリア鉄道を経てヨーロッパ各地への玄関であった。そんな栄光の時代があったことを駅舎は今でも語っているようだ。下関駅のホームに、寝台特急「あさかぜ」の発車30分くらい前に入ってみる。すでに、カメラを持った鉄道ファンが多く集まっていた。このたびに出る直前、寝台特急「あさかぜ」の廃止が発表されたばかりだ。やがて、青色の電気機関車に牽かれた「あさかぜ」がホームのひとつ向こうにやってきた、しばらく停車し、いったん駅を通り過ぎるとゆっくりバックで入ってきた。たくさんの人の注目を浴びて、黙々と長距離を走り続けた古びた客車は何を思っただろうか。
 ドアが開き、私はシングルデラックス、3番個室の住人になる。シングルデラックスは、ちょっと値は張るが、誰にも気兼ねなく一晩を過ごすことができる。洗面台、オーディオ、ビデオの設備と、洗面道具などのアメニティキットがあり、列車の中ということを考えれば十分なサービスだろうと思う。
 列車は静かに下関駅を離れた。車掌がカード式のキーを渡した。ベッドの一方が45度くらい持ち上がるようになっており、読書をするのに都合がいい。音楽をひくくかけ、しばらくうとうとする。
 気がつくと、宇部を発車していた。隣の車両はラウンジカーである。ソファーが並んでおり、ビデオが流れている。窓際のソファーに腰掛け、流れ行く景色を楽しむ。新山口、防府、だんだん外が暗くなってきた。旅の終わりは物悲しい、久しぶりの長期の旅行で気を張っていたのが、昨日の夕方からぷつりと切れてきたようだ、夕暮れの景色がひときわ心にしみる。
 部屋に戻り、照明を全部落とし、カーテンを開けて、流れ行く町の明かりを見ながらいろんなことを考えていた。これからのこと、これまでのこと、普段は何も考えていない人間なのに、旅に出るとどういうわけか内省的になってしまう、寝台特急のスピードがそうさせるのかもしれない。徳山、岩国、広島、尾道、福山そうしているうちに眠くなってきた。岡山に着いたのは覚えていない。
 明日の朝は東京だ、私の旅ももうすぐ終わる、そして、寝台特急「あさかぜ」ももうすぐその歩みを止める。この列車はたくさんのものを運び続けた。昭和から平成にかけ、日本の高度成長を担ったビジネスマンを、たくさんの旅人達の夢を、そして多くの人々の人生を。

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