「典子44歳 いま、伝えたい」 ~「典子は、今」あれから25年 白井のり子著
小学何年生だか今ではすっかり忘れてしまったが、学校の映画鑑賞教室である映画を見た。そのタイトルは「典子は、今」であった。サリドマイドという睡眠導入剤の副作用で、胎児に四肢(手足)の発育不全をもたらす薬害が1950年代から60年代初めにかけて大きな社会問題になった。典子もその薬害のため両腕がほとんどない状態で生まれてきた。映画は、典子の出生から子供時代、就職までを描いたドキュメンタリー映画であった。この映画の主演は典子本人であった。小学生のこと、好きな俳優や女優が出ているわけでもなく、ストーリーも子供にとってはシリアスなものだったので、友達には不評だったが、私はとても心を動かされたのを覚えている。足を器用に使って食事をしたり文字を欠いたりしている姿には驚かされた。そして、典子の一生懸命さがシリアスな内容ながら湿っぽくならなかったのを覚えている。この映画で始めて養護学校という言葉を知った。典子と母親が養護学校に入学しようと校長と面談して、洗面や食事排便が一人でできないことを理由に入学を断られた。私は子供心に養護学校ってひどいところだと思った。そんな私がまさか養護学校に勤務するとは、人の運命とは不思議なものである。
この本を読んで、映画には描ききれなかった少女時代の典子、そして、働き、結婚し、育児をする典子と家族、周囲の人々の人生の軌跡が描かれている。驚くべきは典子の前向きな気持ち。彼女は日本で始めて両腕欠損者で珠算3級を取り、足だけで操作できるクルマを用い運転免許を取得し、健常者に伍して働き、結婚、育児・・・
強い人だなと思う。彼女は今を大切に生きることをといている。この本を読めば、障害のある人、ない人を問わずきっと元気にしてくれると思う。
【白井のりこ著 2006年 光文社 ISBN4-334-97501-1】
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