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12年目の北海道④

【4 最果ての町へ】

8月2日朝。北見は小雨が降っていた。2両編成の柿色のディーゼルカーは高校生で座席がほとんどふさがっていた。エンジンの唸りが高まり、ゆっくりと加速する。今ではすっかり懐かしい国鉄型ディーゼルカーの感触だ。2つ、3つと駅を過ぎるうち、住宅地が切れ、タマネギ畑が広がるころになると、高校生たちが降りていってすっかり静かになった。空港のある女満別を過ぎると、網走湖が広がってくる。静かな湖だ。湖に向かって釣り糸をたれている人がいる。どんな魚がつれるのだろうか?私もしばらく釣りをしていない。またやってみたくなった。

 網走川をはさんで少し遠くに網走刑務所が見えてくる。網走といえば刑務所、刑務所といえば網走というほど有名である。私が今乗っている石北本線の工事にも、網走刑務所の受刑者が動員されたそうだ、厳しい寒さ、過酷な労働、前近代的な労務管理、たくさんの命が失われたという。北海道というフロンティアの開発には、残酷物語がいくつも隠されていることを忘れてはいけない。網走では45分ほどの待ち時間になるので、網走の駅前を歩く。ご当地のポテトチップスなどもありなかなか面白い。

 網走から、釧網本線の1両のディーゼルカーに乗る。特急に使われていたリクライニングシートが並んでいる。すこしクッションがへたっているが、これまでの車両とは比べ物にならないくらい快適である。網走を発車するとすぐに海沿いに出る。まもなく市街地を出ると、オホーツク海の海岸沿いに出る。私はこれで、日本を囲む4つの海(太平洋、日本海、東シナ海、オホーツク海)全てを見たことになる。それにしても、何と寂しい海岸だろう。時々壊れかけた小屋が見えるだけでほとんど人の気配がない。ただ、赤いハマナスの花が所々に咲いているだけである。すっかり名所になった浜小清水の原生花園だけはにぎやかであったが、それを過ぎるとまた寂しい海岸に戻る。最近ユネスコの世界遺産に登録された知床斜里で半分近くのお客が降りる。列車は身軽になって、山を登っていく。エンジンを2台積んだ強力なディーゼルカーは、こともなげに山を越えていく。川湯温泉駅で私は降りた。

川湯温泉駅は赤い三角屋根の山小屋風の造りだ。駅の中には喫茶店も入っていて、旅の途中に立ち寄ると楽しいだろう。この駅前から温泉行きのバスに乗る。乗客は私ひとり。がら空きのバスは駅を出ると牧場の中の1本道を走る。カーブを曲がるときの遠心力で私の荷物が倒れる。運転手は済まなそうに謝るが、荷物をしっかり持っていなかった私の責任であろう。
 川湯温泉のバスターミナル近くの旅館の風呂に入る。川湯温泉には硫黄泉、重曹泉、単純泉の3種類の温泉があるが、ここは硫黄泉である。湯に浸かると硫黄の香りが心地よい。少し熱めの湯であったので、入ったり出たりしながら20分以上堪能した。風呂から出るとロビーに牛乳の自動販売機が合った。普通の牛乳、コーヒー牛乳、フルーツ牛乳があったので、フルーツ牛乳を選んで飲んでみる。私が飲むにはちょっと甘すぎたが、温泉で温まった身体に、心地よい冷たさだった。バスの時間まで少し間があるので、旅館の近くを散歩する。横綱大鵬(横綱在位1961~71年)の銅像がある。樺太(現在ロシアのサハリン州)敷香(現在のポロナイスク)に生まれた大鵬は、1951年から、角界入りする1956年までここに住んだという。相撲資料館もあったが、バスの時間が迫っているので、そちらは諦めることにした。

 今度の列車は川湯温泉始発だった。昔弟子屈といった摩周駅からお客が大勢乗ってきて席はほとんど埋まった。標茶を過ぎると釧路湿原に入る。先ほどの温泉でからだがあたたまったのと、列車の適度な揺れで眠くなってきたが、それをこらえて車窓に目を凝らす。驚くべき広大さである。天気が悪く、小雨が降っているが、それでも、見える範囲すべて湿原である。タイミングが悪いのか、花はあまり見えなかったが、この広大さ、この荒涼としたところが釧路湿原の真価であろう。 突然急ブレーキがかかった。線路上にエゾジカがいたのだ。大きな角を生やしていたから雄だろうか。悠々と走り去って行くその姿は大地の王者の貫禄があった。湿原から急に住宅地に入ると東釧路。根室本線と合流し、間もなく釧路に着く。急な車窓の変化に驚く。

 釧路駅でも待ち合わせの時間を利用してお土産を買った。それでも時間が余るので、キオスクのおばさんに荷物を預かってもらって、和商市場まで行ってみる。トキシラズ(シロザケのうち、秋ではなく夏に返ってくるもの)が大量に水揚げされたらしく、値段も安かった。筋子の赤い色が目にまぶしい。ホッケ、花咲ガニ、タラなどの北の海の幸が並んでいて見るだけでも楽しかった。釧路駅から根室行きの普通列車に乗る。買い物帰りなのだろうか、通勤客の帰宅には早い夕方の列車は、通路までいっぱいになった。釧路港外の駅で、次々とお客を降ろして行く。厚岸の手前で太平洋が見えるようになる。寒々しい海だ。私の住む福島なら、冬の海の光景だ。厚岸でたくさんのお客を降ろすと、空席が目立つようになる。この先、大きな町は浜中と根室だけである。いよいよ最果ての地だ。おだやかな厚岸湖を右に見ると、再び湿原になる。浜中でお客がさらに降りると、車内にひんやりとした空気が流れてきた。8月なのに、秋のようだ。ひたすら続く森の中を列車は進む。こんな最果ての地まで鉄道が通じたのは、北海道開拓にかける意気込みの現れであろう。先人の苦労には頭が下がる。いよいよ人の気配が薄くなる。牧草地でさえ少なくなり、駅の周囲に何軒かの家しかない。そんな駅にも止まる。それでも、降りる人がいろ。おじいさん、おばあさんが多い。生活の不便さは想像に難くない。夕闇が迫るころ、東根室の駅に着く。土を固めたホームが1本と、「日本最東端の駅」の碑があるだけの駅である。
 
列車が根室駅に滑り込むころには、すっかり夕方の気配が濃くなっていた。広い駅前広場に人が散って行き、すぐに静かになった。今日の旅館までは歩いて10分ほどである。半袖では肌寒い最果ての町の夕暮れであった。
 旅館での夕食は豪華だった。花咲ガニが半身も出たのには驚いた。そのほかに、北の海の魚たち。私は1時間以上かけて食べた。まだ9時前なのに、根室の町は物音さえしない。

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