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近代日本の青春時代へ6

6 エメラルドグリーンの水竜に抱かれて (2007年8月9日)

 中村の市街地を出て、国道441号線を北に進む。中村の市街地が途切れるとトラクターが国道を走る農村地帯になる。国道から左側に入る道に入り、しばらく行くと四万十川がエメラルドグリーンの帯となってゆったりと流れている。高知県津野町の不入山を源流とする四万十川は、同県四万十町窪川で太平洋まで5キロ程度のところまで接近するが、山に阻まれ、海から遠ざかるように西へ流れる。いくつかに支流を集めて四万十市の江川崎から南へ流れ中村城の西側を流れ太平洋に注ぐ。全体としてSの字をひっくり返したような形に流れている。「日本最後の清流」とよばれていることはご存知の方も多いと思う。
 間もなく見えてくるのは佐田沈下橋。四万十川にはこのような欄干がない橋がたくさんある。増水時に欄干が抵抗となり橋が破壊されたり洪水の原因になったりすることを防ぐ目的があるそうだ。暑い日だが、沈下橋の上で川風に吹かれるとさすがに気持ちいい。中村駅から四万十川めぐりをする観光バスもここで下車し観光をしている。川の底が透けて見える。福島だって川の底が透けて見えるような川はいくらでもあるが、これだけの推量があり、しかも下流域でこれだけ澄んだ水が流れている川はそうはないだろう。
 クルマに戻り、さらに上流を目指す。この先に三里沈下橋があるので、そこまで行ってみようと思う。道はますます狭くなる、やがてすれ違いが困難なほどの道幅になる。対向車が来る。すれ違いできる場所まで百メートル以上もバックしたこともあった。しかし、景色は素晴らしい。四万十川に注ぐ沢が道路端に小さな滝を作っている。そして水竜のように左右に身をくねらせながらも悠々と流れるエメラルドグリーンの四万十川。
 三里沈下橋は、観光客は私だけだった。他にはキャンプの親子が数組いた。私の目の前で40歳くらいの父親が沈下橋から四万十川に飛び込む。それを見ていた小学校高学年くらいの娘が歓声を上げる。きっと中のいい親子なのだろうな、ほほえましくなる情景である。私も泳いでみたくなったが、着替えも水着も持ってこなかったので断念する。

 ここから国道441号線に出て、中村の市街地を通り四万十川最下流にある四万十大橋を渡り国道321号線を経て漁業の街である土佐清水を目指す。カーナビと到着予測では3時間近くかかると表示されているが、これはあまりにも遅すぎる。どれだけ詰めることができるだろうか。
 中村市街地を過ぎ、四万十大橋を渡る。四万十川の両側はずっと山ばかりだったが、中村からは平野が広がる。相変わらずエメラルドグリーンの水の色は変わらないが、平野に出たら左右に蛇行することをやめまっすぐ流れている。エアコンの効いた車内は快適そのもので、景色もいいし道路も空いているし快適この上ないドライブだ。60~70km/hを維持している。カーナビの到着予想が1分、また1分と早くなっている。四万十川を小さくしたような清流に沿って走る。高知県の川は本当にきれいだ。まもなく、左側にコバルトブルーの太平洋が見えてくる。さっきから早い車につつかれていたが、道が狭く適当な場所がなかった。砂浜を見下ろす駐車場があったのでそこに入り後ろのクルマを先に行かせる。ドアを開けるとメガネが真っ白に曇る。白い砂浜にコバルトブルーの海、どこまでも明るく清らかな風景だった。結局カーナビの予測の半分ほどの1時間30分ほどで土佐清水に着いた。

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