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東京散歩~寅さんに会いに、柴又

 私はよく「寅さん」に似ていると言われる。寅さんと言っても10代や20代の方はわからないと思うので少しだけ説明をしたい。渥美清主演、山田洋次監督による喜劇映画のシリーズで、1969年から1995年の間に48作が制作され、松竹の屋台骨を支えたヒット作になった。寅さんと言うのは、渥美清が演じる役名で、本名を車寅次郎と言い、フーテン暮らしのの的屋で、旅先で美しい女性に出会い惚れてしまうが、毎回結局振られてしまう。その車寅次郎と言うのが実に魅力的な男なのだ。背が高いとか顔がいいとかそんなことじゃない。むしろ顔は下駄のような四角い顔だし、足だって長くない。男の本当の優しさってこんなのだろうな、そんな風に思えるときがある。その優しさは、美しい女性だけではない、恋に悩む若い男達にも向けられる。むしろ中期以降の作品では、自分は身を引いて若い男の恋愛指南役に徹するときもあった。寅次郎の最大であり最後の恋愛の弟子は甥の満男(吉岡秀隆・・・Drコトーですね)であった。そんな恋愛指南役をしている寅さんがとても好きだ。不器用だけど一生懸命になれる、たまにはまるっきり的外れなことをしてしまうこともあるけれど、ここまで他の人に一生懸命になれる人はなかなかいないでしょう。

 鉄道博物館に行った翌日、私はそんな寅さんの舞台を訪れるためにおよそ15年ぶりに柴又に行くことにした。牛田で東武伊勢崎線を降り、京成関屋から京成線に乗るというと、ずいぶん面倒な乗りかえをしたように思われるだろうが、実際は牛田駅を出て道路を渡るとすぐ京成関屋駅である。駅名をそろえないのは何か理由があるのだろうか。京成関屋から各駅停車に乗り、京成高砂で降りる。この駅は狭いホームに、京成、都営地下鉄、京浜急行の車両が頻繁に行き交い面白い駅だ。柴又に行く金町線は20分に1本しかないが、飽きることなく待つことができた。

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 柴又駅は何度も「寅さん」の名場面になっている。恋に破れて柴又を去るときに、妹のさくら(倍賞千恵子)との別れの場になったり、あるいはマドンナが自分のもとを去っていくのを涙をこらえて笑顔で見送ったこともあった。改札機が自動改札になっていたが、柴又の町も駅も映画の頃と大きくは変わらずに残っていることが嬉しかった。柴又駅前には寅さんの銅像がある。おなじみの服装に木のトランクを持って立っている。今日は祝日でもあるのでたくさんの観光客に寅さんはもみくちゃにされていた。ここから柴又帝釈天(題経寺)までは参道を歩いてすぐである。参道の両脇には団子屋や川魚料理屋がひしめき合うように並んでいる。帰りにぜひ見てみようと思う。

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 帝釈天は少し早い七五三のお参りをする家族連でにぎわっていた。晴れ着を着た子供達の笑顔が輝いていた。私には子供がいないが、見ているだけで少しだけ幸せを分けてもらったような気がする。この帝釈天の境内も何度も寅さんと源公(佐藤蛾次郎)が小突きあったり、寅さんがマドンナを案内して散歩をしたりした場所である。

Photo_4

 次いで、江戸川の土手に出てみる。ここはオープニングの歌のとき、寅さんが歩いているところである。さすがに江戸川の河原は広々して気持ちがいい。河原はスポーツ広場になっていて中学生が身体を動かしていた。私は寅さんのように土手に腰を下ろしてしばらくそれを眺めていた。ここまで来たのでついでに矢切の渡しに乗ってみようと思う。船頭に100円を払うと、手漕ぎの船に乗れる。流れがある川なのにぴたりと対岸の正確な位置につけることができることに驚く。対岸の千葉県松戸市の下矢切は畑が広がるばかりである。再び矢切の渡しに乗って柴又に戻る。この後は寅さん記念館を見て、帰りに草団子でも食べて戻るとしよう。

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