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大阪・京都・神戸 私の三都物語②

【2 新選組の足跡をたどって】

 大宮駅で電車を降りた。すでに午後2時近いが、まだ昼食を摂っていない。駅から近い場所にラーメン屋さんを見つけたのでそこで昼食を摂る。細麺に脂の強いこってりとしたスープで身体が温まった。
 細い路地に入ると間もなく光縁寺に着く。この寺の門の前には「新選組乃墓」と彫られた石碑がある。この寺には総長の山南敬介(1833~65)の他、野口健司、葛山武八郎などの新選組隊士がここに眠っている。しかし門には「見学の方はお断りします」と表示されている。少しの間どうしようかと考えたが、墓参なら言いのだろうと考え、中に入った。声をかけると小柄だがきつそうなお坊さんがやってきた。新選組隊士の墓参がしたい旨を告げると、墓参料と引き換えに線香とパンフレットをいただいた。本堂の裏手に回ると狭い墓地があり、その一番奥が新選組隊士の墓になっていた。墓石は幕末に作られたため、だいぶ古びていた。そこには山南敬介をはじめ隊士の名前がずらりと彫られていた。この寺と新選組の縁は、当時の住職と山南が同じ年齢で、個人的にも親交が厚かったことにはじまるという。その縁があり、戦死したり切腹したりした隊士をここに葬るようになった。もっとも、山南自信がここに葬られるようになるとは夢にも追っていなかっただろうが。墓に線香をあげ、手を合わせた。幕末、この国にとって未曾有の危機に立ち上がった若者達、ほんの少しの立場の違いで対立し、殺しあった。一体どれだけの有能な人材が失われたのだろう。若き新選組の隊士達も、京都で、江戸で、会津で、函館で多くが若い命を散らしていった。山南は、学識があり、心優しい性格で壬生の人たちから慕われていたという。空を見上げた、宇宙まで透けて見えそうに青い。私は幕末に生き、若い命を散らした人々が高い空から見守っているような気がした。本堂に戻るとさっきのお坊さんが、本道に案内してくれた。山南をはじめとする隊士の位牌があったので、焼香をしてきた。怖そうに見えたお坊さんの顔がやさしげに見えた。
綾小路を西に進むと旧前川邸がある。ここは新撰組の屯所だったが、現在は公開されていない。そのすぐ向かいにあるのが八木邸である。ここも新選組の屯所だったところである。1863年(文久3年)京都の治安維持のために新選組は京都の西の郊外に当たる壬生の八木邸、前川邸に本拠を構えた。ここで隊士を増やし、京都の治安維持のため尽力することになる。座敷に案内されると説明を受ける。この部屋は新選組の内部粛清で、芹澤鴨一派が殺害された部屋である。私が座っているところにも芹澤達の血が流れたのであろう。その時の刀傷も残っていた。京都に新選組が活躍していた当時の建物はあまり残っていない。良くぞ残っていたと言いたくなるくらいである。道に面していたところが土産物屋になっていて、ここで壬生名物の壬生菜が入った餅をいただく。新選組がいた当時、八木家には男の子がいて、かれが昭和のはじめまで健在であり、新選組の生き証人となった。
八木邸のすぐそばに壬生寺がある。広い寺で、幼稚園や老人ホームなども敷地の中にある。ここに近藤勇の銅像がある。角ばった顔で、意志の強さと威厳を感じる。この広い境内で沖田総司が子供達で遊んでいたのだろうか、天才剣士と子供達の組み合わせはなんとなくおかしくほほえましい。もっとも、この寺で大砲の訓練をしていたそうだから、寺としては迷惑千万だったのだろうが。
次は、新選組の活躍の場として池田屋跡に行こうと思うが、少し遠回りして千本通を二条駅前まで歩いてみようと思う。千本通は、かつての平安京の中央を天皇がいた大内裏から南の出口の羅城門まで南北に貫く朱雀大路とほぼ同じである。かつての朱雀大路は道幅84メートルであったが、現在の千本通はその10分の1もないだろう。周りは住宅や町工場が並んでいて、予備知識が無ければかつての朱雀大路とは気付かないだろう。そんな千本通をしばらく進み、三条通との交差点を過ぎると片側2車線の立派な道路になった。間もなく二条駅に着く。ここから地下鉄で京阪三条に出て、江戸日本橋から続く東海道の終点になっている三条大橋を渡る。間もなく池田屋跡に着く。現在ではビルの前に小さな石碑が一本あるだけである。まだ午後4時半であるが、寝不足のせいだろうか、だいぶ疲れてきた。ここから高瀬川沿いに木屋町通りを歩いて、阪急で大阪梅田に戻ることにする。

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次の記事も楽しみにしています。 [続きを読む]

» エルメス [,大阪・京都・神戸 私の三都物語]
また読ませていただきます。 [続きを読む]

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