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北海道の歴史を歩く 5

【8月7日 夕張の大地に光を見る】

 夕張の駅前には、周囲を圧するような大きなビルが建っている。ホテル。マウントレースイである。このホテルは夕張の「炭鉱から観光へ」を象徴するものである。夕張駅はこのホテルの前に引っ越す形で移転した。気がつかなければ売店にしか見えないような小さな建物である。

 夕張はこのホテルと、直結したマウント・レースイスキー場の他、ホテル・シューバロ、メロン城、石炭の歴史村などの大規模な観光開発を行った。かつて人口11万を誇った夕張市は、炭鉱閉山後も人口流出が止まらなかった。その中で観光に地域活性化をかけたが、残ったのは借金の山である。そんな思いでホテルを見上げると、非常に絶望的な気持ちになる。
 気を取り直して、石炭の歴史村にある炭鉱博物館に行こうとバスを探したが、駅前のバス停には石炭の歴史村行きのバスがなかった。結局ホテル・マウントレースイのカウンターでタクシーを呼んでもらった。

 石炭の歴史村は、お客の姿がなかった、そのうえ路面のアスファルトにひびが入っているのに補習された形跡さえない。わびしい気持ちで入場券とさっきのホテル・マウントレースイのランチがセットになったチケットを購入する。石炭の歴史村は、かつては遊園地の他はくせい館や化石館などがあったそうだが、いまはがらんとした敷地に石炭博物館が残るのみである。この施設全体が遺跡と化しつつある。悲しくも寂しい風景である。
 石炭博物館は悪くはなかった。とくに炭鉱で働く人の生活を中心にした展示は興味深かった。とくに地下の坑道の機械を動態で保存していることはとても貴重なものである。ヘッドランプのついたヘルメットをかぶり、実際の行動を歩くのは少々怖くもあったが面白かった。それにしても、石炭とはなんて美しいのだろう。黒く光り輝いている。黒ダイヤなどという言い方があるが、まったくそのとおりだと思う。

 夕張の市街地を歩きながらホテル・マウントレースイに戻る。夕張の市街地はがらんとして、かつて11万人もの人が住んだ面影は乏しかった。ホテル・マウントレースイの食事では小ぶりながら夕張メロンを半分に切ったものが出た。これまでにも夕張メロンは食べたことがあるが、16分の1か32分の1か知らないが小さなものだった。それにしても何と香りの良いメロンなのだろう。うっとりしながらたゆっくりとメロンを味わった。

 祝辞が終わると12時22分の追分行き普通列車で夕張を去る。夕張の大地は過去には石炭を生み出し、現在は夕張メロンを生み出している。現在も夕張は存亡の危機の中にあるが、この豊かな大地の中に、夕張再生の希望の光を少しだけ見たような気がする。

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