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北海道の歴史を歩く 11

【8月10日 網走という町】

 今朝は早々と朝食を済ませると7時半過ぎにはレンタカーに乗り込んだ。今日は午前中に網走を見て回り、その後サロマ湖に沿って上湧別までドライブし、夕方オホーツク海に突き出した能取岬に立ち寄り網走の戻ることにしている。

 網走は人口4万人弱、しかし、この地方の中心的な都市だけあって、行政機関や商業施設は人口の割りに充実している。オホーツク海に面し、豊富な水産資源を生かした漁業の町である。かつてはアイヌ民族、それ以前にはオホーツク文化の担い手となった民族(おそらくは現在樺太やシベリアに住むニヴフ民族)が住んだ。江戸時代後期から大和民族の進出があり、1873年に開拓使の出張所が置かれた。後には網走監獄がおかれ、凶悪犯や政治犯が収容された。「網走番外地」などの映画やテレビの刑務所のドキュメンタリー番組で網走=刑務所の町というイメージを持った方も多いと思う。私が子どもの頃は年に数回そんな番組があった。他に意外なことであるが、網走市周辺は日本で最も降水量の少ない地域である。網走の1年の平均降水量が800mm.ほどである。東京で1500mm.弱、三重県の尾鷲で4000mm.弱であることを比べるとだいぶ少ない。

 網走駅前を過ぎ、国道39号線を旭川市方面に進む。しばらくすると網走川の向こうに網走刑務所の建物が見えてくる。南に川、他の三方を山に囲まれいかにも脱獄が困難そうな立地条件である。なお、現在の網走刑務所は犯罪傾向が進んだ刑期の短い者が収容されているそうで、過去のイメージにあった網走刑務所=凶悪犯というわ明けではないようだ。
 8時の開館を待って北方民族博物館に行く。ここは、アイヌ民族をはじめ、網走周辺や樺太に住むウィルタ民族、先述のニヴフ民族、フィンランドのサーミ(ラップ)、カナダやグリーンランドのイヌイット(エスキモー)などのオホーツク海や北極海沿岸に住む民族の文化や歴史の研究や紹介を目的としたところである。食生活や衣服、住居など、それぞれの民族が厳しい自然条件に適応するために工夫して生活していることがよくわかった。私はイヌイットの住居というとイグルー(雪をブロック状に固めてドーム型にしたもの9を連想するが、そればかりではないことがわかった。
 北方民族博物館を出て、網走監獄博物館に行く。かつての網走刑務所の建物を移築したものである。明治時代の網走は現在のようにどんなものでもそろうという状況であった、味噌でも沢庵でもなんでも刑務所内で自給していたそうだ。そればかりか、道路や鉄道の建設で酷使された。北海道の近代化にはこのような残酷な歴史も秘められていることは忘れてはならないだろう。圧巻は獄舎である。ずらりと扉が並んだ獄舎は廊下を歩いているだけで恐ろしいほどの威圧感を感じる。扉が開いている独居房に入ってみた。できれば懲役囚として入ることはしたくないが、人間は弱いものだし、私は筋金入りの意志の弱さだからひょっとしたらありえるかもしれないな、そんなことを考えた。

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