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北海道の歴史を歩く 10

【8月9日 知床の大自然に抱かれて】

 私が運転する日産ブルーバードシルフィーは知床半島の海岸沿いの道を順調に進む。左側にはオホーツク海、右側には知床半島の山々が迫り、険しいがとても眺めの良い道である。前の両側の窓を開け、世界遺産の風を浴びながら気持ちよく運転をする。かなり遠回りをしたから、網走を出て4時間以上が経過しているが疲れはまったく感じない。前方に岬が見えてくると、小さな駐車場があり、その奥にはオシンコシンの滝がある。私はクルマを降り、階段を登り滝を見に行く。とても豪快な滝である。落差はおよそ80メートル、とても水量が豊かである。下から眺めると鳥が今にも飛び立とうと羽を広げているようにも見える。滝のしぶきを浴びながらしばらく見とれていた。
 再びクルマに乗り、岬を回りこむと間もなく饅頭みたいなまん丸な山と小さな集落が現れる。知床観光の拠点であるウトロの集落である。

 私はここからさらに知床五湖まで行くつもりである。知床五湖まではクルマでの乗り入れが認められているが、知床の美しい景色をじっくり見るためには、自分でレンタカーを運転するのは適当でない。クルマを止めたウトロの道の駅近くに斜里バスのバスターミナルがあることは知っていたから、ここからバスで知床五湖を往復することにする。バスがクルマでのおよそ40分、バスターミナルのベンチで日向ぼっこをしたり、バスターミナル近くの小川で魚を探したりしていた。

 ウトロのバスターミナルを発車したバスはヘアピンカーブの坂を上る。さっきまでいたウトロの町を見下ろすようになる、間もなく知床自然センターに着く。ここを過ぎると一層険しい山道になる。途中エゾジカの出迎えなどがあり、豪快かつ楽しいバス旅になった。自分で運転したらここまで景色を楽しむことはできなかっただろう。
 知床五湖は、熊出没のため、5つある湖のうち3つが立ち入り禁止となっていた。それは残念であったが、羅臼岳を遠くに眺めがら原生林に囲まれた湖を歩いて回るのは楽しかった。時間が許せば、ずっとここにいたいと思うくらい気持ちが良かった。それにしても暑い、一回りしたところで、土産物屋でソフトクリームを買う。いい歳をしたおっさんがソフトクリームなどを食べている様はあまり格好いいものではないが、見てくれを気にしている場合ではない。
 再びバスに乗り知床自然センターで降りる。ここから20分ほど歩くとフレペの滝があり、そこを目指す。山道をしばらく歩くと草原が広がっている。太平洋戦争の敗戦後、樺太、満州、朝鮮、台湾、南洋諸島などを失い、多くの人が着の身着のままで日本に戻ってきた。その人たちを養う余力は当時の疲弊しきった日本にはなかった。親戚などを当てにできる人はいいが、それができない人は各地で開拓にあたった。ここもその1つだそうだ。しかし、それまで開拓されなかったのにはそれなりの訳がある。ここもそうだ、ウトロの町まできつい山道を上り下りしなければならない、海が近いが断崖で港がない、その他気候の問題もあるだろう。結局、集落に住む人は他に移転して、今では原生林の中に草原として残り、僅かに集落跡の名残を留めるだけである。
 フレペの滝は豪快だった。100m.はありそうな断崖の途中から水がしみだして海まで落ちている。この豪快さと原始の自然が残っているところが知床の魅力なのだと思う。知床は2005年に世界自然遺産に登録された。この自然はいつまでも守りたいものである。知床自然センターからのバスは、斜里バスの案内所のおばさんが乗ってきて、にぎやかに話をしている。私もその話に混ぜてもらって楽しく過ごす。
 ウトロの道の駅で買い物を済ませ、網走に向かう。昨日と同じようにオホーツク海に沈む夕陽を眺めた。充実した1日が終わろうとしていた。
 

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