台湾紀行~東部編 9
【1月1日 旅の終わりに】
2009年のスタートは台北のホテルのシングルルームで迎えた。窓の外には台北市街地を東西に結ぶ幹線道路が走っていて、車やバイクが朝早くからたくさん行き交っていた。テレビをつけると日本のNHK-BS、なんだか日本にいるみたいだが、ここはまぎれもなく台湾。新年最初の食事はホテルのレストランでバイキング。台湾の朝食ではおかゆが当たり前だ。日本では胃腸の調子が悪いときしかおかゆお食べないが、改めて元気なときに食べてみると、意外と美味しいことに気づく。
部屋に戻ってしばらくゴロゴロしていると10時近く、足の具合も今ひとつだから、少し贅沢をしてタクシーで台北駅まで行く。ホテルの玄関先で待機していたタクシーは、トヨタ・ウイッシュ、日本ではミニバンのタクシーは非常に珍しいが、台湾ではそれもありなのである。台北駅のそばにあるバスターミナルで、桃園空港行きのバスに乗る。ここからならバスが頻発しているから、飛行機の時間が気になる人には便利だ。市街地をしばらく走ったバスは、国道1号線に入る。既に述べたように、台湾の国道は日本の高速道路に相当する道路である。この国道1号線は、基隆から、台北、桃園、新竹、台中、台南、高雄と台湾西岸の人口の多い地域を貫く重要な道路である。日本の高速道路との違いは、インターチェンジに料金所があるのではなく、本線上に料金所があることだ、基隆氏によると、全長380km程で、およそ10箇所の本線料金所があるのだそうだ。日本のようにETCもある。私の乗ったバスは、ETCで料金所を通過する。台北を離れると上り坂になるが、バスは非力なのか、目だってスピードが落ちる。
元日の桃園空港は空いていた。行列もなくあっという間にチェックインを済ませると、空港の3階のレストランで烏龍茶を飲んで過ごす。それでも時間を持て余したので、早めに出国手続きを済ませた。サテライトで行き交う飛行機を眺めながら2時間ほど過ごし、成田行きの全日空機に乗り込む。空港は空いていたが、飛行機はほぼ満席だった。帰りの飛行機は追い風に乗ってスピードを上げる。九州上空まで来ると1100km/hという行きの倍以上の速度になった。高知県沖だと思っているうちにたちまち静岡県沖に達した。東へ向かっているから時間の進みが速い、すでに空の色は夕方の気配が漂ってきた。旅の終わりの夕暮れは不思議と普段よりも私の気持ちを感傷的にする。今回の旅は足の不調に振り回されたが、台湾の人との出会い、素晴らしい景色との出会い、色々なことが頭をよぎる。いい旅だった。とくに、高齢でありながら異邦人である私を心から歓迎してくれた仁愛先生、私のために長い距離の運転をしてくれた基隆氏、2人の顔が浮かんだ。
飛行機は千葉県沖に差し掛かり高度を下げ始めた。左に旋回すると房総半島の町並みが見えてきた。日本だ。旅が終わり、また日常が始まる。私の中での2009年が今、動き出そうとしていた。
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