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台湾紀行~東部編 7

【12月30日 東部幹線の旅】

 今日は台湾南東部の知本温泉から列車を乗り継ぎ台湾北西部の台北まで台湾をおよそ半周する列車の旅をする。
 知本温泉を去る前に、最後の朝風呂を済ませる。ここのお湯は炭酸水素ナトリウム泉と言う泉質で、湯上りには肌がつるりとする感じがする。男だから肌なんて気にするべきではないのかもしれないが、35歳を過ぎて肌の衰えが見え始めたので嬉しい効果だ。
 荷物も増えたので、ホテルのフロントにタクシーを呼んでもらうように依頼する。タクシーの窓から温泉街を見る。台北や高雄ならまた来ることもあると思うが、台北からかなり遠いここまでまた来るかと言うと、それは難しい気がする。たった2泊しただけだが、なんだかこの風景が妙にいとおしく感じる。

 知本駅では、少々時間があったので、駅舎の写真を撮ったり、少し散歩したりした。少し早めにプラットフォームに入ると、ディーゼル機関車が牽く復興号(座席指定の快速列車)が入ってきた。座席は半分しか埋まっていない。乗客の身なりも普段着である。その後すぐにディーゼルカーの自強号(特急列車)が入ってきた。こちらの乗客は服装もよそ行きである。ただしほぼ満員であった。私は一昨日チケットを購入していたから難なく座れたが、当日だったら座れなかったかもしれない。間もなく台東駅に着く。ここで降りる乗客が多く車内は少しすいた。さっき先に発車した復興号に追いついたが、ここで追い抜くことはなく、復興号が先に発車していった。しばらくうとうとしているうちに、復興号を抜いた。列車は中央山脈と海岸沿いに連なる海岸山脈の間の細長い平野を走る。人家もあるが、圧倒的に水田が多い。ここからこの先の池上にかけては、台湾の中でも米どころとして知られ、とくに池上の米は有名で、その米を使った弁当が名物になっている。
 池上を過ぎると登りになる。私が乗っているディーゼル自強号はやや非力で、加速も、登り勾配もゆっくりだが、それがのどかな風景によく合う。玉里駅には、このあたりの普通列車に使われる古い日本製ディーゼルカーが日向ぼっこをしていた。玉里を過ぎると徐々に下り坂になり、列車は速度を上げる。花蓮に近づくと家が増え、海側の山脈の山々が低くなる。私の乗った列車が花蓮駅の大理石製のプラットフォームに滑り込むと間もなく台東方面行の自強号が発車した。ちょうどタイミングよく発車の瞬間をカメラに収めることができた。
 花蓮は、花蓮県の中心的な都市であるとともに、大魯閣峡(タロコ)渓谷をはじめとする観光の拠点になる駅である。ここから台北方面は電気機関車や電車も走ることができる。最近日本製の高性能な電車が投入され、台北まで2時間少々で行くことができるようになった。しかし、私が乗るのは両端に電気機関車がついた推拉式の自強号である。乗り換えの待ち時間があるので、駅前を歩いてみたいが、今日もまた足の具合がよくない。プラットフォームの売店で買い物をして次の列車を待つことにする。すると「べんと~、べんと~」という懐かしい声が聞こえてきた。現在の日本ではすっかり聞かれなくなった駅弁屋さんのかけ声である。さっそく購入する。

 台北行の自強号は早めにドアを開けていた。座席に座り発車を待つ。おばさんの団体が乗り車内はにぎやかになった。花蓮を過ぎると間もなく平野は終わり、目の前に壁のようにそびえる高い山々が見えてくる。先日仁愛先生や基隆氏などと一緒に見た断崖の反対側である。鉄道はトンネルで崖を抜けるが、ところどころ絶景を見ることができる。2000メートル級の山脈が海に一気に落ちるときに作る豪快な海岸線である。海岸線が一段落すると駅弁を開ける。ご飯の上に煮込んだ豚肉や野菜、煮卵などが入った弁当で、素朴ながら味は良い。やがて宜蘭県の平地に出て、羅東、宜蘭などに停車するが、あまり乗客は増えない。高速道路ができて、そちらの方が台北まで早くいけるからであろう。頭城を過ぎると、基隆河に沿ってくねくねと走る。場所によっては狭い河に沿って趣のある集落菜並んでいるところもあるが、高速道路を走る車やバスと競争している鉄道にとっては頭の痛いところであろう。やがて列車は地下の台北駅に滑り込む。

 ホテルに落ち着き、一休みした後、地下鉄に乗って士林夜市に行った。たくさんの屋台が並んでいた。色々見て歩いた後、てっっぱん焼きの店で夕食をした。
 

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