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東京散歩~松子と歩く北千住 中

 北千住は大きな駅だ。上野から土浦、水戸、いわき、仙台を結ぶJR常磐線。浅草から久喜、太田、伊勢崎を結ぶ東武伊勢崎線。秋葉原からつくばを結ぶつくばエクスプレス。代々木上原、霞ヶ関、北千住を経て、JR常磐線に乗り入れる地下鉄千代田線。中目黒から六本木、銀座を経て、東武伊勢崎線に乗り入れる地下鉄日比谷線が走っている。人の流れは多くはこれらの列車の改札口に向かっている。残りの人の多くは駅前にバス乗り場や丸井がある西口に向かう。私はこれらの人の流れに逆らって東口に向かう。

 東口は駅前広場もない。大きな駅を出ると細い道があって、その両側に商店が建ち並んでいた。さっきまでのめまいがしそうな人ごみから一変して静かな商店街である。商店街を東に向かって歩くと間もなくロッテリアがある。小説で、松子の甥が松子の死語部屋を片付けに来たときに立ち寄った店だ。何てことないことだが、こんなことを発見しながら町を歩くのは楽しいことである。それにしても、なんて懐かしい風景だろう。地方では、クルマ社会が進むところまで進んでしまって、ここのような駅前の商店街はすっかり寂れてしまった。ここではまだまだ健在である。お肉屋さんからはメンチでも揚げているのだろうか。油の香りが漂っている。油の香りはしない代わりに厳重にパックにつめられているスーパーマーケットのものよりきっとうまいだろう。後で寄ってみることにする。

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 T字路に突き当たって右に曲がる。小説の中での描写によると、松子が住んでいたのはここを左に曲がった方角だが、先を急ぐ必要はない。回り道をしながら進もうと思う。しばらく行くと商店街から住宅地に変わり、大きな通りを渡る。間もなく踏切が見えて来る。東武伊勢崎線の踏切である。踏み切りを渡って右に曲がると牛田駅がある。ここの駅は一風変わっている。駅自体は都市近郊の平凡な駅なのだが。細い通りを挟んですぐにもう1つ駅がある。京成本線の京成関屋駅である。普通、こういう場合、駅名を共通にして乗り換えの便を図るのだが、東武と京成は仲が悪いのか駅名は別々になっている。しかし、お互いの駅が出入り口が向かい合っているから乗り換えは便利である。もっとも出入り口が背中合わせにあったら利用者としてはたまらないだろうが。
 牛田駅を過ぎ、最近増えたミニバンなら屋根がつぶれてしまいそうな低いトンネルで線路をくぐると間もなく柳原千草園がある。狭い園内ながら、様々な季節の草花が植えられている。真冬のこの時期は花をつけているのは椿ぐらいだが、春から初夏にかけては、色とりどりの花が咲くだろう。松子はこの近くに13年も住んだのだから、何回かはここで花を愉しんだ、そう思いたいし、そうであって欲しいと思う。なんだか、小説の中の架空の人物でなく、幼い頃生き別れになった姉か伯母の足跡をたどっているような気分になってくる。

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 柳原千草園を出ると、再び太い道を渡る。その先には柳原稲荷と言う神社がある。ここを過ぎると道はますます細くなる。間違ってもクルマでは入りたくないような道である。もっとも、北千住駅、牛田駅、京成関屋駅が徒歩圏内になるから、クルマは必要ではないだろうが。中学校を右に見ながら進むと、間もなく住所が日ノ出町に変わる。松子が晩年を過ごした場所である。


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