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東京散歩~松子と歩く北千住 下

 日ノ出町に入り、右手に保育園の建物と狭い運動場が見えた。その向こうには建物よりも高い堤防が見える。堤防沿いの道路を横切ると鉄製の階段がある。ちょうどおばあさんが階段を降りてくるところだったので、端によって松。おばあさんは「こんにちは、いい天気ですね」と知り合いに話すように私に話しかけてくる。私も「暖かくて、いい日ですね」と答える。お互い無言で通り過ぎるよりはるかに気持ちがいい。

Photo

 階段をのぼり、後ろを振り返る。北千住駅の建物がすぐ近くに見える。距離は少々離れているのだが、遮る高い建物がないためであろう。その右には、日ノ出町団地の建物も見える。反対側にを振り返ると広い河川敷があって、その向こうに荒川が見える。荒川の対岸には首都高速中間環状線と東京拘置所が見える。かつてはロッキード事件の田中角栄やライブドア事件のホリエモンらが収容され、現在も連合赤軍事件の坂口弘、オウム真理教事件の麻原彰晃らが死刑確定囚として収容されているはずである。さらに上流には東武伊勢崎線、つくばエクスプレス、JR常磐線、地下鉄千代田線の鉄橋が並んでいて、頻繁に電車が行き交っている。ずっと家が建ち並んだところばかり歩いてきたから、広々とした河川敷は気持ちが良い。河川敷は運動場になっていて、サッカーや野球をしている人たちもいるし、自転車に乗っている人たちもいる。私は土手の草の上に寝転んで思いっきり身体を伸ばした。青い空が見えた、雲ひとつない。目を閉じると頬に触れる草の感触、冷たいけれど優しい風の匂い、すべてが好ましい。

Photo_2

 松子はここで川を眺めながら泣いていたそうだ。なぜだろうか。それは、多分、すがすことのできる人をすべて失い、故郷である福岡県大川市大野島へ帰るすべを失った松子にとって最後に残されたものが、故郷を流れる筑後川に似た北千住の荒川の風景だけなのだろう。この風景がこの世で最後に松子に残された縁なのだ。私は上半身を起こして改めて荒川を見た。チクショウ、こんないい風景を見ているのにどうして涙が出そうになるのだろう。
 30ふんほど荒川の河川敷にいただろうか。風に吹かれているうちに身体が冷えてきた。私は東武伊勢崎線の鉄橋近くまで行き、土手を降りた。再び両側に家やアパートが建ち並ぶ細い道を歩くと少し大きな公園に出た。ここは千住旭公園という。親子で追いかけっこをしたり、ボールで遊んでいる姿が見られる。そういえばここまで歩いてきて、北千住駅や牛田駅の周囲と荒川河川敷の運動場で野球やサッカーをしている人を除けばすれ違うのは高齢者ばかりだった。だから少しばかり面食らった。2001年7月9日深夜、松子はここに名刺を探しに来て、たまたまここにいた5人の少年に暴行を受け、自室に戻るも内臓破裂で死亡した。松子はかつて殺人を犯しているから、自業自得と言えるともいえるかもしれないがあまりにも無残な死であった。
 そんなことを考えていると、ここに長くいることはできず、北千住駅東口に向かって歩き出した。松子は死の当日、通院先の病院で18年ぶりに旧友に会った。かつて刑務所で一緒に臭い飯を食った者同士だが、かたや現在は芸能事務所社長、一方松子は心を病み、姿は醜くなり、希望を失った人生の敗残者。旧友だからこそ絶対に見せたくない姿だっただろう。松子は事務所の千束美容師として働かないかと誘われ、連絡先として名刺を渡される。しかし、松子は旧友も、自分自身も信じることができず。帰り道の千住旭公園で名刺を捨ててしまう。その夜、松子に変化が起きた。人を信じてみよう、そして自分を信じてみようと思った。松子がシザーを持って髪をカットする真似を始めた時、松子にとって13年以上止まっていた時間が動き出した。だめでもともと、やってみようと思った。そのためには公園で捨ててしまった名刺がいる。
 松子の人生は、不運と松子自身の男を見る目の無さ、そして情にもろい性格と強い意思を持てなかったことにより、破滅へと進んでいった。殺人、覚せい剤取締法違反で2回も刑務所に入った。結果だけを見れば悲惨で不幸な一生なのかもしれない。しかし、一生懸命に行き、一生懸命に働き、一生懸命に人を愛し、人に裏切られることも多かったけれど、人生最後の数時間、人を信じよう、自分を信じよう、未来を信じようと思えるようになった松子は、最後は幸せにこの世を去っていったのかもしれない。私が架空の世界の住人にここまで思い入れを持ったのは高校生のとき読んだ太宰治の「人間失格」の大庭葉蔵以来だろう。大庭葉蔵、川尻松子、そして私。そろいもそろってダメ人間だと思う。しかし大庭葉蔵と私のダメ人間っぷりは方向性が違う気がする。川尻松子と私はダメ人間の方向性がどこか似ている気がする。だからまだ見ぬ姉のような親近感が持てるのだろう。そう考えているうちに北千住駅東口の直前まで来てしまった。回れ右をして商店街で買い物をしてから帰ろうと思う。

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