東海道2010 その7
【8月12日 三重県亀山市~三重県四日市市】
関宿は東海道の旧宿場町の宿場町の中でも、最もかつての姿をとどめているところの一つであろう。東海道は通った地域は、江戸時代から現代にいたるまで、この国で最も人口が集積して産業が栄えた地域である。この旅に出る前に懸念していたのが、単に1号線を走りましたで終わってしまうことであった。しかし、山中の小盆地である関は発展に限りがあった、そのため古い姿を21世紀までとどめたのであろう。よく見れば、あちこちに21世紀が見え隠れするものの、これだけ宿場町の面影をとどめていることろはそうはない。銀行の営業所も街並みに会うように作られている。
草津宿は本陣を見たが、今度は旅籠を見る。一部の人しか泊まれなかった本陣と違って、旅籠は宿賃さえ払えば、武士から百姓、町人に至るまでだれでも泊まることができた。料金を払って中に入ると、江戸時代の建物ながら、小ざっぱりしてなかなか良い。便利なビジネスホテルに泊まるのもよいけれど、こんな旅籠で1泊できたらいいだろうなと思う。もっとも、当時の旅籠は余程空いていない限り基本的には相部屋だろうから何日も連続したらプライバシーの確保できるビジネスホテルに逃げ込みたくなるだろうが。
関宿を歩いているうちに雨が降ってきた。傘をさしながら古い町並みを歩くのは好きだ。雨は日本の風景をよりやさしく、奥行きを深くする。だから私は小雨くらいなら雨を苦にしない。さすがに土砂降りだと閉口するが。ここと関係する面白い話がある。「あいつならこの程度が関の山だろう」などといういい方があるが、この「関の山」とは、ここ、関宿の山(関東では山車、仙台では山鉾という)があまりに立派だったので、「これ以上のものはない」という意味でつかわれるようになったといか。
関宿を出ると、国道1号線をJR関西本線に沿って東に向かう。東名阪道の亀山ICがあるが、四日市ICまで20km以上の渋滞となっている。もし疲れていたら四日市まで高速利用も考えていたが、わざわざ渋滞の中に突入する必要はない。このまま一般道を進むことにした。ICを過ぎてすぐに、1号線から外れ、かつで東海道53次の46番目の宿場町であった亀山の市街地に入る。亀山の駅前広場にクルマをとめて休憩をする。この町は平地と山地の境にあり、鉄道では関西本線と紀勢本線が分岐し、JR東海とJRの西日本の境界駅に駅になっている。道路では、東名阪自動車道、伊勢自動車道、新名神高速道路、名阪国道(自動車専用道路、通行無料)が接する。この交通の便の良さが、シャープの液晶工場をはじめとする工場の集積に結びついたのであろう。
亀山を出ると、1号線に戻る。間もなく鈴鹿市に入る。ホンダの主力工場である鈴鹿工場は右側の鈴鹿川の向こうにある。高速道は渋滞のようだが、国道は50km/hくらいで流れている。このくらいで流れていればさほどいらいらしない。JR関西本線を高架橋で渡ると石薬師、ここは44番目の宿場町である。更に走ると、2008年4月に乗った、近鉄内部線の内部駅が見えてくる。旅の途中に見覚えのある景色を見ると不思議とほっとするものだ。ここで国道から離れ、内部線に沿った旧東海道を走る。しばらくして1号線に合流するが、そこは日永追分といって、東海道と伊勢街道の分岐点であった。そこを過ぎると四日市の市街地に入る。近鉄四日市駅に近いホテルにクルマをとめたのが午後4時過ぎ。エアコンをかけ、熱いお茶を淹れ、土山の道の駅で買った、お茶の外郎(ういろう)を食べる。なかなかおいしかった。
午後6時近くなって涼しくなったのを見計らって外に出る。四日市といえば産業都市というイメージがあるが、市街地はきれいに整備されていた。近鉄四日市駅を過ぎて、海のそばにあるJR四日市駅のそばまで歩いた。ホテルの近くまで戻り、カツオの刺身とつくね(これがとてもおいしかった)を肴に三重県の地酒を飲んだ。話のうまいお姐さんがいて、ずいぶん話も弾んだ。店を出るころにはホロ酔いをやや通り越していたが、気持ちよく飲めたのでよしとする。
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