東海道2010 その12
【8月14日 静岡県掛川市~静岡県静岡市】
掛川を出発して、国道1号線を静岡市方面に向かう。山が両側から迫ってくると東海道53次の25番目の宿場町である日坂宿になる。古い建物が残されている。東海道の宿場町の場合、一定のパターンがあり、両側に山が迫り開発余地の少ないところは昔の面影が残されている場合が多い。関や藤川がそうである。ここを過ぎると東海道の難所の一つ、小夜(さよ)の中山の峠越えになる。私は国道1号線を外れ、狭い道に入り、急な坂を登っていく。スバルご自慢のボクサーエンジンは220馬力の馬力にモノを言わせてぐいぐい登っていくが、歩いて登るのは相当難儀なことだと思う。坂を登りきるとやや平たんな道になる。道の両側には茶畑と農家が点在するのどかな光景である。これで天気が良ければ鼻歌を歌いながらのドライブだが、掛川を出発する頃から降り出した雨が土砂降りに変わった。小雨なら風情があるが、土砂降りの雨はただただうっとうしい。
小夜の中山の久延寺近くの駐車場にクルマを止め、雨が弱くなるのを待ったが、雨は一向に止む気配はない。土砂降りのせいかあたりはうす暗く、なんだか背筋が寒くなるような気がする。ここは江戸時代に東海道が定められる以前からの交通の難所で、西行の歌碑などがあるそうだが、この薄気味悪い気配に一刻も早くここを離れたくなった。とりあえず傘をさして駆け足で久延寺を参拝し、クルマを静岡方面に向け出発させた。しばらく走ると前方に近所のおじいさんが運転している軽トラックが見えた。夜道で人家の明かりを見つけたようなほっとした気持ちになった。つんのめるような下り坂を降りると24番目の宿場である金谷に着く。現在では、SLの運転で知られる大井川鉄道の乗換駅になっている。駅前で少し休憩して大井川に架かる橋を渡ると、島田市立博物館に着く。
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越される大井川」と歌に歌われたように、山や峠越えは厳しいけれど、足を前へ運び続ければ越えることができるが、川の場合はそうはいかない。東海道にはいくつもの大きな川があるが、江戸幕府は大井川や阿倍川には渡し船さえ認めなかった。蓮台や人足に肩車をしてもらって越えた。大雨の時期はこれらの川は川留めになって交通の大きな障害になった。博物館の展示物で面白かったのが、現在でも花嫁の髪型として生きている文金高島田が江戸時代に島田宿にいた女性に由来するものであるという部分であった。博物館の外には川越遺跡といって、大井川の川越にかかわる人足の番屋や川会所などが復元されている。ここだけ歩いていると江戸時代にタイムスリップしたようで面白い。いつのまにか雨がやんでいた。
島田から国道1号線で藤枝に進む。ここから先東海道は岡部宿、鞠子(まりこ)宿と日本坂の北側を回り込むようにして静岡に向かうが、私は焼津、大崩海岸、用宗と海側に道を進むことにする。私の職場に、静岡の大学で学んだ方がいて、大崩海岸は良いからぜひ行ってみるといいとアドバイスを受けたのである。地図で見ても山がほとんど垂直に海に落ち込む豪快な海岸で、地図を見るだけでわくわくしてくる。私にはもう一つ魂胆があって、焼津か用宗でおいしい魚を食べようと思っている。藤枝から焼津に向かう途中で給油をする。焼津港周辺で店を探すが、これだと思う店は見当たらなかった。焼津港を離れてすぐ、目の前に小高い山と海が迫ってきた。道は左右にくねりながら崖の上に出た。左は垂直に切り立つ断崖、右側は数十メートルしたに太平洋。わたしはこんな豪快な道路を見たことがない。これは予想外に面白いぞと思う。そんなところをしばらく走ると、トンネルがあり、トンネルの先は急カーブで道路が海上に架けられた橋になるところがある。ここは、大崩海岸の名の通り、非常にもろい岩肌で落石により被害が出ないようにするためだという。小さな駐車場があるのでクルマを止め写真を撮る。クルマを出ると眼鏡が一瞬で曇ってしまう。よほど気温と湿度が高いのであろう。間もなく用宗の町が見えてくる。ここはもう静岡市である。用宗港の近くの店で昼食にする。サバとマグロのづけがたっぷり載った丼を食べる。マグロはもちろんうまかったが、脂の乗ったサバがとてもうまかった。
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