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ハマナスの花

 今日、福島県いわき市に行った。そのついでに、かつて住んでいた海沿いの地域がどうなっているのか気になったので行ってみた。この地域は、3月11日の東日本大震災で大きな被害を受けた。

 いわき市の中心部であるいわき駅周辺は表向き何事もなかったように見えるが、よく見ると歩道や建物に亀裂があり、地震の揺れが強かったことを物語っている。いわき市の中心部をはなれ、海岸に向かう。海岸部の中には、集落が丸ごと一つ津波に流されてしまったところもあった。私は覚悟はしていたが、そこを通りかかった時には胸が潰れるような深い悲しみに包まれた。家が流されてコンクリートの土台だけが残った家、ひしゃげてつぶれたクルマ、私はこのあたりの風景が好きで、中校生のころから何度もこのあたりに来たから、かつての風景は今でもよく覚えている。海と山の間の狭い平地に木造の家屋や民宿、水産物加工工場が肩を寄せ合うように並んでいた。集落の狭い道には、クルマとバスと自転車と歩行者がお互いに譲り合いながらゆっくりと通行していた。海のそばだから、夏でも涼しく、いわき市に住んでいた頃は、おにぎりと本を持ってこの集落近くの駐車場にクルマをとめて、本を読んだり、集落や海辺を散歩したり、昼寝をしたりしたものだ。しかし、ひとたび牙をむいた海は、平和な集落を地獄に変えてしまった。今日は東日本大震災からちょうど100日、流された自宅の前で茫然としている人たちが多くいた。私もクルマをとめて黙祷をする。

 そこをしばらく過ぎると私がかつて住んでいた住宅地に着く。このあたりは津波の直接の被害はなかった。しかしこの近くの海岸沿いの道路はひどい有様だった。歩道は波打ち、路肩は崩れ、海岸近くの駐車場はあちこちに地割れができ、50cm位の段差ができていた。私はその駐車場にクルマをとめて、海を見た。子どものころから海を見ることが大好きだったが、今日ほど海を恨めしく思ったことはない。海よ、どうして私の故郷をこんなにしてしまったのですか。風も波も答えてはくれない。しかし、足元にピンクのハマナスの花だけが咲いていた。私は膝を曲げてそのハマナスの花を見た、海岸の砂丘によく咲くこの花をこんなに愛おしく思ったのは初めてだ。そう、希望は潰えたわけじゃない。また頑張ろう。小さな花にそう誓った。ハマナスの花に救われた、そんな思いがした。

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