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旅のその後

 8月10日、宮崎はまだ風が強いものの、雨はすっかりあがり、晴れ間さえ見えていた。テレビをつけると三重県や高知県では大雨でひどいことになっている。申し訳ない気もするが、私は旅を続けることにする。
 3日間泊まったホテルを出て、宮崎駅を発着する列車を眺める。昨日は1日全列車が運休して活気がなかった宮崎駅が、今日は見違えるようにいきいきとしている。私は日南線の特急「海幸山幸」に乗った。この特急は速さよりも観光に重点を置いた列車で、室内のみならず外装にも沿線の名産の飫肥杉を使っている。温かで居心地のいい車内である。宮崎を出発して間もなく、大淀川の橋を渡ってすぐに列車は停止した。ダイヤの乱れによる信号停止だろう。少し離れたところにあるマンションのベランダから子どもが列車に向かって手を振っている、列車が止まっているからこちらも手を振り続ける、2,3分間列車は停止していたが、その間手を振り続けた。青島や鬼の洗濯板などの景勝地を楽しみ、1時間少々で飫肥に着いた。ここは飫肥藩伊東氏の城下町である。飫肥城の苔むした石垣や日本刀、城下町の街並みなどを見て歩いた。次の列車を逃すとこの後のフェリーに間に合わなくなるから、最後は急ぎ足で飫肥駅に戻った。飫肥駅からは志布志行きの普通列車に乗る。日南、南郷でお客を下し、串間を過ぎると車内はガラガラになった。終点の志布志はかつては、日南線のほかに志布志線、大隅線が乗り入れる鉄道の要衝であったが、現在は両線とも廃線になっていて、広い敷地をもてあましている。近くのタクシー会社の営業所からタクシーに乗り、フェリーターミナルに向かう。
 私が乗る、「さんふらわあ きりしま」は1万2千トンクラスの大きな船で、埠頭から見ると見上げるほど大きかった。狭いターミナルの中には少年サッカーのチームや高校の部活動の団体がいてにぎやかだった。16時に乗船が始まり、個室のカギを受け取って部屋に収まった。シングルベッド、デスク、テレビ、クローゼットが備わっていた。これに冷蔵庫もあれば文句なしだろう。窓からは志布志の海と遠くの山並みが見えた。17時出港、私を見送る人はいないが、それでもデッキに出てみて一緒に手を振ってみた。その後、浴室に向かう。動く景色を見ながらの風呂は格別だった。就職のバイキングには鰹のたたきやチキン南蛮などが出た。鰹は新鮮で臭みがなく美味かった。今日はやめておこうと思ったが、うまい魚を前にしてビールを飲まないのはもったいない。揺れのせいかビールがいつもよりずいぶん早く回った。少し足元は頼りないが、真っ暗やみのデッキに出てみた。満月の月が南の空に大きく出ていた。満月ってこんなに明るいんだと今更ながら知った。そして、満月に照らされた海面は妖しくもきれいだった。部屋に戻るとすぐに眠くなった、まだ22時少し前である。

 8月11日目が覚めると6時少し前、和歌山の沖である。洗面を済ませて部屋を片付ける。朝食を食べているうちに関西空港の沖合に来た。もうあまり時間がないが、大阪南港に着くまであと1時間、デッキに出たり、船室でのんびりしてみたりした。遠くに明石海峡大橋が見えた。大阪南港着7時40分、14時間40分の船旅は楽しく、あっという間に過ぎてしまった。その後私は夕方まで大阪で過ごし、福島行きの飛行機で戻った。

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