マツダRX-8 フォーエバー
かつて夢のエンジンと言われたエンジンがあった。そのエンジンはなめらかに吹け上がり、高出力が期待され、振動や騒音も少なくなることが予想された。当然そのエンジンにたくさんの会社が実用化を目指ししのぎを削った。しかし、それに成功した会社はほとんどなかった。そのエンジンの名はロータリーエンジン。1964年に西ドイツのNSUという会社がヴァンケルスパイダーという世界初のロータリーエンジン搭載のスポーツカーを発売したが、エンジンの耐久性、信頼性に問題があり、数年で撤退した。次いで、日本のマツダがNSUのエンジンをもとに改良し、耐久性、信頼性についてようやく実用のレベルを満たすロータリーエンジンを開発、1967年コスモスポーツを発売した。その後、ファミリア、サバンナ(後のRX-7)、ファミリア、ルーチェとロータリーエンジン搭載車を徐々に増やしていった。その後、石油危機の逆風もあったが、燃費、環境性能を改善し、ロータリーエンジンはマツダの代名詞となった。しかし、ロータリーエンジンには、低回転でのトルクの薄さという欠点があり、スポーツカー以外には展開しずらい欠点もあった。市場もスポーツカーからミニバン、エコカーと嗜好が変化し、ロータリーエンジン搭載車はRX-7のみに絞られた。そして、2003年、RX-7の後継としてRX-8が誕生した。大きな特徴は、スポーツカーでありながら4ドアであることである。全体的なスタイルズ崩さすに、後部座席に大人が座れる実用性も確保した。スポーツカーにとって厳しい時代になったが、RX-8は販売面でも健闘した。厳しくなる排ガス規制に適合できず、特殊なエンジンを搭載しているため、コストがかかることもあり、2012年に生産終了、マツダから、そして地球上からロータリーエンジン搭載の自動車の販売が消滅することになった。
タイムズカーレンタル(マツダレンタカー)でRX-8が借りられることを知ったのはしばらく前だった。貴重なロータリーエンジン車に1度乗ってみたいと思っていた。今回、1日レンタルして、ロータリーエンジンの味わいを試してみたくなった。シートに座り、エンジンをかける。まず、ニュートラルでアクセルを吹かしてみる。おお、なんて軽やかに回るエンジンなのだろう。まずは市内の少し混んだ道を走る。低回転ではややトルクが薄い気がするが、それでも必要十分なパワーを出している。高速道路に入ると、スムーズに回るエンジンのおかげで気持ち良く加速する。しかし、このクルマにとってもっとも「らしさ」を味わえるのはワインディングだろう。今回の車はATであったが、マニュアルモードで走るのが楽しい。「頭文字D」でも知られる榛名山の県道33号線のカーブを、気持ち良く曲がっていく。少しだけスピードを上げたくなった。
マツダRX-8、現在は新車で買うことはできないが、レンタカーで気軽に体験することができる。あなたも1度いかがですか?
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