考えなければならない未来
衝撃的なニュースを耳にした。青森県のある市にある総合病院が看護師の不足で病棟の一部閉鎖の危機に直面している。原因はここ数年退職者が採用者を上回り続けること。看護師の数が減れば入院患者のケアをするために夜勤の回数が増える。この病院では多い人で月に8〜9回の夜勤をこなしているそうで、相当な激務と言えるだろう。その激務が退職者を増加させる原因になり、益々残った看護師に重い負担がかかるようになる。このままの状態が続くと2021年には夜勤体制が組めなくなり、一部病棟の閉鎖や入院患者の制限に踏み切らざるを得なくなるそうだ。この地域は元々大きな病院は少なく、この病院が機能しなくなったら、遠くの病院まで通院や入院しなければならなくなり、多くの人が不便を強いられるだろう。もちろん、他の地域の病院も十分な体制がある保証などどこにもない。
大阪近郊のセブンイレブンの店主が、日曜日の休業を本部に申し入れた。ここも原因は人手不足、店を支えていた外国人留学生が帰国して、店主と数少ない人数で店の営業を続けることが困難になってきたからだ。現在、都市部のコンビニエンスストアを中心に外国人の力によって支えられていることが多い。それでも人手不足の場合は店主やその家族が休日や深夜のシフトに入ってしのいでいる場合が多い。コンビニエンスストア本部との契約上、勝手に店を閉めることは許されない場合が多い。
日本の総人口は2004年に1億2784万人でピークに達したあと減少に転じ、2030年には1億1115万人、2050年には9515万人に減少するとみられている。外国人は増加を続けているが、それでも、日本人の減少を補うには至っていないし、間も無く台湾、韓国が人口減少に転じ、中国もあと10年程度で人口減少に転じ、東南アジアも多くの国で少子化が進んでいる状況では、いつまで外国人に頼ることができるかは定かではない。いや、日本が稼げる国であるから外国の人が来るのであって、日本経済の停滞が続けばそう遠くない将来、日本の人が中国や韓国、台湾、東南アジアに働きに行く時代が来るのかもしれない。そうなった時に、日本国内での労働力不足がもっと深刻になることも考えられる。考えたくはないけれど、考えなければならない恐ろしい未来だ。
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