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軽自動車に新しい潮流

 軽自動車は日本独自の車両規格である。狭い全幅に短い全長に小型のエンジンが特徴だった。狭い道や狭い駐車場が多い日本では、軽トラックや軽ワンボックスなどの商用車として、あるいはダイハツ・ミラやスズキ・アルトなどを中心とした女性の通勤や買い物、家族の送り迎えなどに使われることが多く、男性が乗ることはあまりなかったし、家族みんなが乗って移動することもあまりなかった。

 この状況を変えたのが1993年に登場したスズキ・ワゴンRで、すでに全幅と全長は決まっていたから思い切って背の高いボディにしてみた。このこの時期のスズキの主力の軽自動車であるアルトが1400mm程度であったが、一気に1640mmにしてみた。こうすると高さに余裕が生まれるから椅子の座面も上げることができ、前後方向にも余裕ができる。家族4人で乗っても余裕で使える軽自動車がここに誕生した。このコンセプトは、他社にも波及し、ダイハツ・ムーヴ、三菱・トッポBJ、スバル・プレオなど各社が独自の解釈で背の高い軽自動車、後にハイトワゴンと言われる軽自動車を生み出した。

 2003年にはさらに広い室内を追求したダイハツ・タントが誕生した。ワゴンRより更に背の高いボディを与え、驚きの1725mmである。後ろから見ると、軽ワンボックスにしか見えなかったが、驚くほど室内は広かった。ドアは、ワゴンRをはじめとするハイトワゴンがこれまで多くの車種で用いられてきたヒンジドア(開き戸)に代わり、後席にスライドドア(引き戸)を採用した。スライドドアは、乗降の際大きなスペースを使用しないし、子どもや高齢者が乗り降りをするときに隣のクルマにドアをぶつける心配がない、何よりドアの開く幅が大きく、チャイルドシートを使う子供の乗り降りにも、身体が不自由な高齢者の乗り降りにもいい。これに追随したのがスズキ・パレットやホンダ・N BOXで、これらはスーパーハイトワゴンと呼ばれている。

 2016年、軽自動車に更に新しい潮流が生まれた。ダイハツから出た、ムーヴキャンバスである。ボディの高さは1655mmとやや控えめながら、後席にスライドドアを採用した。正直言ってスーパーハイトワゴンは車内は広く、子どもが立って着替えをできるし、自転車も楽に積めるほど車内は広いが、座ると天井の高さが気になるし、まぁそこまでの室内の広さはいらないと言う人もいるだろう。このクルマ、なかなかいいところに目をつけたと思うし、丸っこいボディもなかなかいいと思う。最近、スズキからもワゴンRスマイルという似たようなコンセプトの車が出た。軽自動車は日本独自のガラパゴスな規格であるが、実に個性的なモデルが出てきた。今後の推移が楽しみなカテゴリーだと言えるだろう。

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