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昔は良かった症候群

 「昔は良かった」という言葉は世の中のいろいろな場所で聞く。私が大好きな鉄道趣味の世界でいえば、「昔はブルートレインがたくさん走っていて良かった」、「昔は長距離列車が多くて乗りごたえがあった」、「昔は国鉄型車両が多く走っていて味があった」クルマが好きな人なら、「昔はスポーツカーがたくさんあって良かった」、「昔のクルマは直線的でボンネットや車高が低くカッコよかった」、「昔のクラウン(シビック)はこんなじゃなかった、今のクラウン(シビック)はクラウン(シビック)じゃない。などがある。

 もちろん私も昔を懐かしむ気持ちはある。ブルートレインの旅は今でも最高だと思っている。「北斗星」、「銀河」、「はまなす」、「さくら」、「あさかぜなどのブルートレインのの旅は今でも思い出として強く残っているし、機会があれば乗ってみたいと思っている。しかし現実はそんなに甘くないと思っている。ブルートレインはとにかくコスト高になる。他の列車が走らない夜間に駅員などの要員を確保しなければならない。人口減でJRクラスの会社でも人材の確保に苦慮している現在、それは難しいことだと思うし、寝台車は昼間には無用の長物になってしまう。それでは採算に合うとは思えない。長距離列車についても、例えば、大阪から、福井、金沢、富山などを経由して新潟まで走った特急「雷鳥」など、今でも残ってほしかった列車は多いが、長距離を走ると、他の地区のダイヤの乱れを波及させやすいという欠点もあるし、乗り換えを便利にするという条件である程度の長距離列車の削減はやむを得ないと思っている。国鉄型車両については、国鉄の分割民営化から30年以上が経ち、老朽化が進んでいる以上、数を減らしているのはやむを得ないことだと思う。多くの乗客にとって、古くて味がある車両よりも、新しくてきれいな車両を求めるのは当然のことである。鉄道の従業員にとっても、新しい車両ほどメンテナンスの手間が少なくなるし、新しい車両にはバリアフリーにも対応している。そして一部の鉄道事業者は古い車両を保存していてイベント時に走らせている。私たちはそのような機械を利用して昔の鉄道旅行の思い出に浸ればいいと思う。

 昔が良かったかといえば、必ずしも良かったとは言い切れないものがある。クルマ好きの多くは、昔のクルマは良かったというが、それは本当だろうか。私はそれはちょっと疑問を持っている。昔は今よりも交通死亡事故が多かった。今の車に比べればずっと衝突安全性が低く、ABSもなければ、自動ブレーキもなかった。私は今さらそんなクルマに乗りたいかと言われれば答えは「No 」だ。クルマは好きだが自分の命や他の人の命が大事だし、地球環境も大事だと思うからだ。スポーツカーの現象は確かにあるが、クルマ好きの人はオートマチックトランスミッション(AT)の普及や燃費規制、クルマの値段が上がったこと、ピープルムーバー(ミニバンともいう要するにアルファードのようなクルマ)やSUV(ハリアーのようなクルマ)の普及がスポーツカーの衰退の原因だと槍玉に上げるが、私は違うと思う。家電のテレビCMを見ればわかるが、最近の家電のCMは性能の良さを売りにしたものはほとんど見かけない、使い勝手の良さやを売りにしたものが多い。どんな商品を買っても性能はある程度の水準に達しているから使い勝手で勝負をしているのだと考える。クルマも同じで、今やどの車種に乗って走りに大きな不満のあるクルマはない。しかし、使い勝手には大きな違いがある。そうなれば、使い勝手のいいピープルムーバー(ミニバン)やSUVが有利になると思う。デザインだって、ボンネンットが低いクルマはかっこいいのかもしれないが、歩行者と衝突した時に、頭部の傷害が大きくなりやすいし、車高が低いと乗り降りしにくいし車内が狭い。人は自分がクルマに関心を持ち始めた時のクルマを理想像と捉える傾向があるが、クルマは時代背景や人々の暮らし、地球環境問題や道路事情、社会的な要請によって変わるもので、時代が変わっても変わらないクルマがあるとすれば、それは時代に取り残されたというべきであろう。

 「昔は良かった」という思いを全否定するつもりはない。しかし、それに囚われ過ぎていると、今が見えなくなるし、未来がつまらなくなる。最近の電車は乗り心地がいいし、車窓から見える景色は昔と変わらず素晴らしい。クルマだっていずれEV(電気自動車)やPHV(充電もできるハイブリッド車)の時代になっても、自分で運転して道の世界に行ける素晴らしさは変わらない。昔は良かったそれはもちろん、今も素晴らしいそう考え、古きも新しきも愉しんでいきたいと思う。

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