高齢ドライバーの事故を減らすために(続き)
高齢ドライバーによる事故が続いているが、これを減らすために、私たちドライバーができることを考えてみたいと思う。
都会の人が聞いたら驚くと思うが、地方の人はとにかく車によく乗る。数百メートル先のコンビニエンスストアまで行くのにも車を使う。雨が降れば学校の周りの道路は子どもを送迎する車で渋滞する。駐車場事情が悪い昔からの商店街は寂れ、栄えるのは大きな駐車場を完備した大型ショッピングモールやロードサイド店ばかり。道を歩いているのは子どもと高齢者、まるで大人がいない町のよう。おそらく、車が好きというよりは、車に頼りきり、車を使わない生活を考えられ無くなっているのだと思う。
なるほど、車はいつでも出発できるし、電車やバスのように混雑の心配をすることがない。終電を気にする必要もないし、車内でオナラをしても誰にも迷惑がかからない。誰の視線を気にする必要がないし、どんな会話をしても他人に聞かれる可能性はない。車はまことに便利な乗り物ではあるが、たったひとつ重大な欠点がある。それは、死ぬまで運転をすることが残念ながらできない人が多いことである。
車と冷蔵庫を比較してみよう。どちらもあれば非常に便利なものである。しかし決定的な違いはある。冷蔵庫を使うには特に資格は要らないが、車を使うには運転免許が必要である。これは冷蔵庫を正常に使った場合、人に怪我を負わせたり、殺してしまう危険性はほぼないが、車の場合、仮に適切に使用したとしても人に怪我を負わせたり、殺してしまう可能性があるからだろう。そして、高齢になって認知機能や身体機能が衰えても冷蔵庫を使いこなすのはそう難しくはないが、車の場合は残念ながらそうではない。完全自動運転が実現すれば認知機能や身体機能が衰えても利用できるだろうが、現在実用化に向けた実験段階だし、実用化はもうしばらく先であるし、実用化しても私たちに買える値段で販売されるかはわからない。
それではどうすればいいか。はっきり言って、車が運転できないほど認知機能や運動機能が落ちてから車のない生活を考えても遅いと思う。人は歳を重ねるほどそれまで積み重ねてきた生活を変えるのが困難になる。元気なうちから、徒歩、自転車、鉄道、バスなどを使った生活をすることをお勧めしたい。今は便利な地図アプリもあるし、仮に1時間に1本程度しか電車やバスが来なくても、時間を把握すればそれはそれで便利なものだ。駐車場の制約がなくなるから、市街地や駅前にも行きやすくなり、そこだけでしか買えないものや食べられないものにも出会えるだろう。
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