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エンジンブレーキうっとおしい問題

 ずいぶん昔の話だが、クルマに詳しくない人に「エンジンブレーキってどこについているの」と聞かれたことがある。残念ながら、エンジンブレーキという部品は存在しない。しかしエンジンブレーキという方法で減速することはできる。なんだそりゃと言われそうだが、事実だから仕方がない。

 エンジンブレーキとは、ガソリン車やディーゼル車で使える減速方法で、アクセルペダルから足を離すことで、エンジンの出力を抑え、緩やかに減速する方法である。例えば、道路が混雑している時に速度を抑えたい時や、前方の信号が赤信号だが、まだフットブレーキを踏む状況ではない時に使う。また、下り坂で速度を抑えたい時にはシフトダウンを組み合わせればより強いエンジンブレーキをかけることができる。 

 特にエンジンブレーキが重要なのは長い下り坂を下る時だろう。フットブレーキだけで長い下り坂を下りようとすると、ブレーキが加熱して効きが悪くなるペーパーロック現象を起こし、最悪の場合、事故につながる。昨年起きた富士山での観光バスの死亡事故もフットブレーキの使いすぎが原因と言われている。

 エンジンブレーキの仕様は重体の減少にも効果がある。むやみやたらとストップランプを光らせるドライバーがいるが、後続のクルマのドライバーはそうなればフットブレーキを踏まざるを得なくなる。やたらとストップランプが点滅するのは、「ア・イ・シ・テ・イ・ル」のサインだけにしたいものである。最悪なのが、車間距離を取らずに、フットブレーキを踏む直前までアクセルペダルを踏むドライバーだろう。無駄にガソリンを消費して、むやみやたらにストップランプを光らせ、渋滞の原因を作る。

 最近、Twitterなどで、「エンジンブレーキうっとおしい」という投稿を目にしたが、まず見直すべきはエンジンブレーキの使用よりも車間距離だと思う。エンジンブレーキによる減速は強くはないので、ちゃんと車間距離をとって前を見ていれば慌ててフットブレーキを踏むことは考えにくい。だいたい、車間距離を詰めたところで、混んだ道路で早く目的地に着くわけでもないし、遅いクルマがが急いでくれるわけでもない。だいたい、遅いクルマを許せないような人は公道を走るより、サーキットを走った方がいいだろう。

 楽しいゴールデンウィークは、エンジンブレーキを使って安全運転を、車間距離を取ってスムーズでエコな運転を。

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