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2023年9月の7件の記事

恐れていたことが起きた

 駅弁は旅の大きな楽しみのひとつである。地域の食材を使い、地域の味を楽しむ。その中には名物駅弁となり、全国にその名を轟かせているものもある。群馬県の横川駅の峠の釜飯、富山県の富山駅のますのすし、福岡県の折尾駅のかしわめし、北海道の森駅のいかめし、まだまだたくさんある。その中に、青森県の八戸駅の八戸小唄寿司という駅弁がある。しめ鯖と鮭を使った押し寿司で、少し甘めの酢飯に脂の乗ったしめ鯖と鮭が実によく合う弁当でなかなか美味しかった。全国各地に駅弁はあるが、内情は決して楽とは言えないようだ。かつては列車の速度が遅く、駅構内の飲食施設や商業施設も今ほど充実していなかった時代は駅弁のお世話になることが多かったが、今では列車の速度も上がり、列車内で食事をすることも減り、コンビニエンスストアの充実でライバルが増えた。そのため、廃業に追い込まれる駅弁業者も多い。

 もちろん駅弁業者も黙ってはいない、様々な新商品を開発したり、デパートやスーパーマーケットの駅弁祭りに商品を出しているところも増えた。とくに、デパートやスーパーマーケットの駅弁祭りは人気のある企画で、売り上げの多くをここであげている駅弁業者も多いと聞く。もちろん、販路を拡大して売り上げを増やすのは悪いことではない。しかし、それには安全という大前提がつく。そこに一抹の不安を持っていたが、今回その不安が現実になった。八戸の駅弁業者がスーパーマーケットなどで販売した駅弁で食中毒が発生し、その被害者は全国で500人近くになるという。

 実は、この食中毒が発生したのは、9月16日と17日に販売されたものであったが、16日に市内のスーパーマーケットに行った時に、駅弁祭りをやっていたことに気づいたが、暑い時期にはまだ早いのではないかと思ったので、駅弁は買わずに帰った。その時食中毒を起こした業者の駅弁があったかまでは見ていなかった。駅弁は常温で販売されることが多い。本来なら駅のそばで調理して、短時間で売り切るのが本来の姿である。暑い時期に長距離を輸送して販売するというのは、徹底的な衛生管理が必要なことなのだろうが、そこに少しのミスがあるとこのような事態になる。

 今回の食中毒では、米飯が糸を引いていたという証言がある。問題となった米飯はは八戸からおよそ100km離れた岩手県にある業者から納品されたものであるが、温度管理が不十分で、本来30℃以下で納品されるべきものが、50℃程度で納品されていたという。また、八戸市まで輸送した車は、冷蔵車ではなく、普通のワンボックス車で、エアコンをかけていただけだという。車のエアコンは当然ながら食品を保冷するだけの能力はない。(車のエアコンにそんな能力があったら、下手すれば車内に乗っている人は低体温症になる)。また、駅弁業者も温度が高いことを認識していながら廃棄せず、自社の設備で冷却した後弁当に使ったという。

 今回の問題は、米飯の衛生管理の問題が大きいが、それと並んで、自社で炊飯できる数を大幅に上回る発注を受けてしまったことにもあるだろう。もちろん、3連休でかき入れ時だったから無理をしてしまったのかもしれない。衛生管理の基本に立ち返り、無理のない範囲で販売するなど、して、安全で美味しい駅弁が食べられるようになって欲しいと心から願う。

世界に誇るモビリティショーに

 10月28日から11月5日まで、東京都のビッグサイトでジャパンモビリティショー(旧称、東京モーターショー)が行われる。今回の特徴は海外勢の出展がわずか3社(ドイツのメルセデス、BMWと中国のBYD)にとどまったことである。かつて常連だったフォウクスワーゲン、アウディ、ミニ、ランドローバー、ルノー、フィアット、プジョー、シトロエン、ジープ、テスラ、ヒョンデ、これらの会社はみんな出展を見送った。海外のモーターショーでの日本メーカーの存在感も薄いそうで、日本の自動車市場も自動車産業もどうも今ひとつ元気がないようだ。

 海外メーカーがジャパンモビリティショーへの出展をしないのは、人口が増加し、自動車の普及が進んでいる新興国の市場を重視したからという理由で一応説明がつく。日本は人口減少過程に入り、今以上の自動車の普及も望めそうにない。そうなればどちらを重視するかは言うまでもないだろう。海外のモーターショーで日本の自動車産業が元気がないのは、ズバリ出す車がないからだと思う。世界の自動車産業は急速に電動化にシフトしつつあるが、日本の自動車産業は乗り遅れている感が強い。

 では、どうすればジャパンモビリティショーが活性するか、私の案はこうである。バリアフリーとユニバーサルデザインを全面に押し出したモビリティショーにしてはどうかと考える。日本は急速に高齢化が進み、高齢者が安全に移動するためにどうしたらいいかが大きな課題になっている。実はこれは世界の多くの国が将来直面する問題である。世の中問題があるところにビジネスチャンンスがある。高齢者が安全に移動するためのモビリティを提案するショーにすれば世界にない画期的なモビリティショーになると思う。どうだろう、この案はなかなか悪くはないと自画自賛しているが。

蛭子さん的生き方

https://x.com/warawareruyuuki/status/1693845319698776253?s=53&t=I-361nATdKd5A0fGQPugrQ

 認知症を公表した漫画家でタレントでもある蛭子能収さん。周囲の協力もあり個展を開くことりなりました。

 高齢化が進行し、ますます認知症を患う人が増えると予想されるこの時代、自分らしく生き続ける蛭子さんの生き方は多くの人に希望を与えるだろう。何よりも、周囲の人と良好な関係を築いてきたからこそできたことだと思う。

人手不足の国、どこへ

 大阪府富田林市、河南町、太子町、千早赤坂村で路線バスを運行する金剛自動車が、深刻な乗務員不足を理由に今年12月で路線バスの運行を取りやめると発表した。同社には数年前にはおよそ30人の乗務員が在籍していたが、現在はおよそ20人、8月の平日には1日あたりおよそ2600人の利用があった(8月は学校の休みの月であり、普段はもっと多いと思われる)が、駅から離れた場所に住んでいる人を中心に多くの人が生活の足を奪われることになる。中には自家用車を持っていない高校生までの年齢の人や高齢者、経済的や身体的な事情で運転免許を取れない人もいる。また、家族の自家用車で送り迎えをしてもらえる人もいるだろうが、バスよりはるかに多い台数の自家用車が走ることで、富田林の市街地を中心に渋滞が激しくなることも予想される。

 周辺の地域で路線バスを運行する南海バスや近鉄バスが応援するとしても、大手事業者でさえ人員の余裕はどれほどあるか。近年、バス事業だけでなく、人手不足で事業を縮小したり、廃業したりする事業者が増えている。少子高齢化と人口減少が続く日本で、高齢者の踏ん張りでなんとか続いている事業は多いのだと思う。その高齢者が頑張りきれなったくなった時、果たして社会機能をどうやって維持していくか。いずれはバスの運転も自動運転化されるのだろうが、それにはもう少しかかりそうだ。日本の行く末は不便な社会、そうならないため、外国から日本に働きにきてもらうことはもう現実的というより、なぜその方向に舵を切らないのか理解不能な話だと思う。働いてもらうということは、社会の一員として受け入れ、彼らの考え方、彼らの文化を受け入れること、彼らと共生することが避けられない。その覚悟があるか、それともズルズル不便な社会になるか、選択するのは私たち国民だ。

ジャニーズ喜多川の性暴行問題から

 ジャニー喜多川の性暴行問題について思うこと

1 性暴行については、女性への性暴行が問題とされることが多いが、当然男性への性暴行も大きな問題である。特に未成年者への性暴行は、被害者が男女いずれであっても深刻な影響を与える問題だと思う。

2 テレビ局などのメディアは、ジャニーズ所属アイドルが確実に視聴率を取れるということで、問題の存在を知りながら報道してこなかった責任は重い。

3 今問題になっていることだけではなく、他にも「芸能界だから」という理由で隠蔽されてきた問題は他にもあるのではないか。芸能界だけではなく、日本の社会全体に、一部の者に忖度し、人権が侵害されている人は多くいるのではないか。

4 今回の性暴行の問題は今年3月にイギリスのBBCが報道して事態が動き始めた。それまでは多くの人が噂として知っていても、一部の週刊誌を除いて積極的に取り上げようとはしてこなかった。日本社会全体の自浄作用が弱いのではないかと思う。

どうする、ジャニーズアイドルファン

 ここしばらく、芸能プロダクション大手、ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川(1931〜2019)による、未成年者を含む所属アイドルへの性暴行疑惑がメディアなどで取り上げられ、一部のアイドルは、スポンサー契約の打ち切り、スポンサー契約が打ち切られれば当然、番組出演の機会も減ることが予想される事態になっている。これらのタレントのファンにとっては気が気ではない事態であろうと思う。

 ジャニー喜多川はアメリカのショービジネスを見て1962年にジャニーズ事務所を創業した。多くの男性アイドルを輩出する一方で、1960年代には既に性暴行について一部で知られていたようだ。その後も多くのアイドルやアイドルのグループを生み出し、テレビや映画などを中心とする日本のショービジネスを牽引してきたといって過言ではないであろう。当然、テレビなどの関係者はジャニー喜多川が性暴行をしているという噂は知っていたのだろうが、ジャニーズはあまりに多くのアイドルを抱えていた、テレビなどの関係者はジャニー喜多川の逆鱗に触れればジャニーズ事務所は所属タレントをテレビ番組や映画に出演させないという対抗措置を恐れてジャニー喜多川の性暴行疑惑について深く追及することを避けてきた、いわば、日本のショービジネスのタブーになったと言っていいだろう。もちろん勇気ある人はいた。元ジャニーズのアイドルだった人が本の中でジャニーズ事務所の内幕を暴露したり、週刊文春の中でジャニー喜多川の性暴力について取り上げたことがあった。後に週刊文春とジャニーズ事務所の間で裁判になり、判決では、週刊文春の記事にあった事実はあったと認められたが、まだテレビ局の力が大きかった時代で、このことが大きく取り上げられることはなかった。

 事態が動き出したのは、2023年3月、イギリスの公共放送BBCがドキュメンタリー番組でジャニー喜多川の性加害について取り上げ、韓国、アメリカ、香港、台湾などの各国のメディアもこの問題を取り上げ、世界的に知られる事件になった。4月になると、元ジャニーズJr.のメンバーが実名でジャニー喜多川による性被害を訴た。こうなるとまだまだ目立たない扱いではあるが、日本のテレビもようやく重い腰を上げ報道するようになった。7月にはついに国連人権理事会も調査に乗り出した。8月にはジャニーズ事務所が立ち上げた外部の専門家による特別チームが未成年を含む男性アイドルへのジャニー喜多川の性暴行を認め、ジャニー喜多川以外の経営陣も問題を知りながら放置していた事実が問題を拡大させたと認定した。9月7日には、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が会見を開き、ジャニー喜多川による性暴行を認めた上で謝罪し、社長を元少年隊の東山紀之に交代することを表明した。また、この問題を受けて、東京海上日動火災保険、日本航空、アサヒビール、アサヒ飲料、キリンビールなどの各社がジャニーズ事務所に所属するアイドルをCM出演の契約解除などを表明している。

 これからのことについて私なりの考えを示したい。まず、ジャニーズ事務所という看板を下ろすのは当然のことであろう。ジャニーズ事務所がジャニー喜多川の性暴行を認めた以上、ジャニー喜多川が日本のショービジネスを大きく発展させた功労者であろうと、性犯罪者であることはほぼ間違いないだろう。そうであるなら、ジャニーズという性犯罪者の可能性が高い者にちなんだ名称は適当ではなく、新しい看板で再出発を図るべきだろう。そして、この問題の処理が終わった段階で、藤島ジュリー景子社長を含む経営陣が退任し、株も手放し経営から一切手を引く(ビッグモーターの場合、創業者一族が株を手放さなかったことで批判されたことは記憶に新しいだろう)。アイドルの人権を守るための体制を作ることが大切だろうと思う。

 ジャニーズ事務所に所属するアイドルのファンは非常に多い、彼らから元気をもらっている、生き甲斐になっているという声も聞く。そういう人たちには非常につらい時期だと思う。今後、ジャニーズ事務所を退所したり、テレビなどへの出演の機会が減るかもしれないが、こんな時こそ、ファンがアイドルを支える時なのかもしれない。

 

忘れてはならないこと

 100年前の9月1日、関東大震災があった。この日の正午少し前、神奈川県の相模トラフで発生した地震は、マグニチュード7.9の規模の大きな地震で、首都圏一帯で震度6を観測した。この当時震度7はまだ設定されていなかったから、相当強い揺れであった。この地震で10万5000人余りの人が死亡、あるいは行方不明になったとされる。この地震では、昼前ということもあり、昼食に準備をしている家庭も多く、多数の火災が発生し、東京都墨田区にあった陸軍被服廠跡地をはじめ、多くの被災者が火災で死亡した。また、当時東京名所と言われた浅草の凌雲閣(浅草の12階)など多くの建物が倒壊した。

 この大震災で忘れてはならないのは、デマの怖さである。朝鮮半島出身者や社会主義者などが井戸に毒を入れたというデマが広がり、その結果数千人の人が殺害されたという報告もある。当時、朝鮮半島は日本に併合されており、同じ日本人同士の悲劇であった。未曾有に災害の中、一部の心無いもののデマにより、多くの人が恐怖心からパニック状態になり、自警団を結成し、朝鮮半島出身者と思われる人を見つけると暴行したと言われる。災害はそれ自体が恐ろしいものであるが、それによるデマはもっと恐ろしいものだと思う。このようなことがあったことは忘れてはならないと思う。

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