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2023年10月の4件の記事

未来のMIRAI

 人生も歴史であると思う。だから、だれの人生にも「その時歴史が動いた」瞬間があると思う。

 この人にとって歴史が動いた瞬間とは、2011年3月11日、同じく2011年8月25日、そして、2019年5月3日、おそらくその3回だろう。

 この人の名は、MIRAI、岩手県宮古市に生まれた。宮古市は三陸海岸の中心的な都市である。盛岡からJR山田線という路線がある。盛岡駅を出て2、3駅も進むともう人口の少ない北上高地を走る、区界峠を越え、閉伊川に沿って下るとやがて宮古に着く。海沿いの小さな町だが、北上山地を越えてきた旅人には都に着いたような気持ちになる。MIRAIはそんな場所に育った。

 MIRAIにとって最初に歴史が動いた日は2011年3月11日、言うまでもなく。東日本大震災の日である。MIRAIが住む岩手県宮古市は。震度5強の揺れが襲い、8.5mの津波に見舞われた。死者、行方不明者は600人を超えた。まだ11歳の少女であったMIRAIにとって、想像を絶する恐怖であっただろう。

 次に歴史が動いたのは2011年8月25日、初代タイガーマスクの佐山聡らが宮古に来て、復興支援のチャリティプロレスを開いた。MIRAIはこれを見て、自分もプロレスラーになることを決意した。実はこの時のMIRAIはいじめられっ子で孤立無援の状況であった。プロレスと出会わなかったらもしかしたらMIRAIはいじめに屈していたのかもしれない。そう考えると人生における出会いの不思議さを感じる。

 その後、MIRAIは柔道に打ち込み、高校を卒業後、練習生としてプロレスの世界に入る。そして、2019年5月3日、東京女子プロレスからプロレスラーとしてデビュー、その後、スターダムに移籍し、現在、ワンダー・オブ・スターダムのベルトを持つチャンピオンである。武器は強烈なラリアット、こいつは私も郡山で見たことがあるが、相当な破壊力がある。

 いじめと震災を乗り越えて、プロレスから勇気と夢をもらった少女は、夢を実現させプロレスラーになった。これからも戦い続け、たくさんの人に勇気と夢を与えるだろう。MIRAIのこれからを応援したい、魂をこめて。

未来に伸びる宇都宮ライトレール

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 8月に開業した宇都宮ライトレールに乗ってきた。想像以上に完成度の高い交通機関だったので紹介したい。

 まず、宇都宮ライトレールの概要だが、宇都宮駅東口を起点に駅東側の市街地を通り、新4号、鬼怒川を越え、日本最大級の内陸型の工業団地である清原工業団地、住宅地のゆいの杜を経由し、本田技研工業の一大拠点近くの芳賀・高根沢工業団地を結ぶ路線である。

 電車のデザインから、ブラックと、イエローがに塗り分けられた電車はなかなか斬新である。また、路面電車であることから、自動車からの視認性は良い配色を選んだことがうかがえる。また、雷都と呼ばれる宇都宮の地域性も表している。車内に入ってみると、配色はグレーとイエローの配色になり、柔らかく、リラックスした感じになる。座席の形状などは自動車産業が盛んな宇都宮らしく、電車の座席というよりはスポーツカーのシートを意識したデザインになっていることが興味をひく。

 電車の走りはスムーズで、騒音や振動も最低限に抑えられており、快適性は極めて高い。車両の床は低く、車いすを利用している人も利用しやすい高さになっている。また、無料Wi-Fiや大型モニターもあり、路面電車の車両としては充実した装備である。気に入ったのがロールカーテンで、薄いグレーなのだが上品な色で、宇都宮の伝統工芸品を意識したものらしい。大きな窓は魅力的だが、上の方だけロールカーテンを下ろせば視界を妨げずに日差しだけ和らげることができる。

 土曜日の昼間に乗車したが利用は多く、部活帰りの高校生や買い物に行く人などで立ち客もああるくらいの大盛況であった。沿線には、工場のほか、宇都宮大学、作新学院大学などの学校、グリーンスタジアムや清原球場などのスポーツ施設、ベルモールなどの商業施設があり、旺盛な需要があると思われる。将来は芳賀町中心部や東武宇都宮駅方面への延伸も計画されている。宇都宮ライトレールの発展を祈りたい。

私たちは主権者である

 先週のブログで取り上げた埼玉県議会の自民党議員団が提出した条例改正案、通称留守番禁止条例案は、あっさり撤回された。それはそうだ。この条例案の内容はあまりに無茶で、シングルマザー、シングルファザーだけでなく、共稼ぎ世帯でも到底守れそうにない内容で、多くの世帯が条例違反にあたる可能性があるばかりでなく、常に大人の目がある環境というのは、子どもの社会性や自主性の発達にとっても必ずしも良いとは思えない環境である。

 今回撤回に追い込んだ力は、他ならぬ主権者である私たちの声である。ちょっと考えてみよう。日本国で最も偉いのは誰か。それは総理大臣でもなく、最高裁判所長官でもなく、衆議院議長でも参議院議長でもなく、もちろん天皇でもない.じゃあ誰か、それはこの文章を読んでいるあなただ。もう少し正しく言えば主権者である日本国民一人一人だ。どんな優れた政治家であっても間違いを犯す。ましてやその政治家がポンコツなら間違いを犯すものと考えたほうがいいだろう。この国の行方を決めるのは政治家ではない。我々主権者である国民だ。多くの人が声を上げれば政治家の間違いを正すことができる。当たり前のことであるが、今回のことで学んだ教訓である。

これは正気なのか?

 自宅で留守番させてはいけない、(100メートル先の近所の家に回覧板を届けるため一時外出する場合も含む)▽子どもだけで公園で遊ばせてはいけない、子どもだけで登下校させたり、おつかいに行かせてはいけない、 高校生(18歳未満)のきょうだいに子どもを預けて出かけてもいけない。これはアメリカかどこか海外の話のように聞こえるが、れっきとした日本の話。埼玉県議会の自民党議員団が議会に提出し、委員会で可決した条例の改正案である。

 条例の趣旨は子ども(ここでいう子どもとは小学生以下の子供である)、小学3年生までは義務、小学4〜6年生までは努力義務になる。埼玉県はなんと子供に優しい政策をするのであろう。家庭には人を派遣して、保護者が外出する際には子供の目になる人を派遣してくれるし、子どもだけで登下校しなくて済むように、スクールバスを出してくれる、もちろん放課後児童クラブはいつでも空きがあり利用可能。そんな恵まれた子育て環境を埼玉県は用意してくれている。それなら素晴らしいことだと思うが、莫大な予算とマンパワーが必要になる。本当にできるのか自民党と言いたいところである。

 別の面から考えてみよう。周りに常に大人がいる環境が、子供にとって本当に良い環境なのかという疑問がある。子ども同士で遊んだり、子ども同士で登下校することに全くリスクがないとは言えない。それでも、子どもたち同士の中で子どもは危険を学んだり、社会性や自主性を学んだりするのではないかと思う。常に周りに大人がついていて、あれこれ指示しないと動けない指示待ちロボットのような子供を量産したいのだろうか。

 保護者の立場から考えても問題は多い。近年は共稼ぎ、シングルマザー、シングルファザーも増えている。登下校も塾や習い事も、放課後の時間も、埼玉県が一才子どもの面倒を見てくれればさほど問題ないのであろうが、実際は違うだろう。保護者にいつもそばに居ろという趣旨なのは明白である。例えばここに、シングルマザーあるいはシングルファザーがいたとして、子どもを学校まで送っていって、それから仕事に行く。子供に学校が終わる前に仕事を終え、子供を学校に迎えに行き、公園に遊びに行くのにも一緒について行く。もし、自分に通院や急な用事ができても子どもをずっと連れて歩かなければならない。そう考えると相当非現実な話だと思う。

 これはもしかしての話だが、埼玉県の自民党県議団の皆様は、家に祖父母と母親が常にいる家庭しか想定できない残念な数多しか持ち合わせていないのかもしれない。現在、父親だけの稼ぎでは食べていけない家庭も多いし、3世代同居がうまくいかない家庭やシングルマザー、シングルファザーも多い。子どもの安全は非常に大事だが、社会全体で子育てを支援して行き、保護者に過剰な負荷をかけないこともまた大切である。

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