これは正気なのか?
自宅で留守番させてはいけない、(100メートル先の近所の家に回覧板を届けるため一時外出する場合も含む)▽子どもだけで公園で遊ばせてはいけない、子どもだけで登下校させたり、おつかいに行かせてはいけない、 高校生(18歳未満)のきょうだいに子どもを預けて出かけてもいけない。これはアメリカかどこか海外の話のように聞こえるが、れっきとした日本の話。埼玉県議会の自民党議員団が議会に提出し、委員会で可決した条例の改正案である。
条例の趣旨は子ども(ここでいう子どもとは小学生以下の子供である)、小学3年生までは義務、小学4〜6年生までは努力義務になる。埼玉県はなんと子供に優しい政策をするのであろう。家庭には人を派遣して、保護者が外出する際には子供の目になる人を派遣してくれるし、子どもだけで登下校しなくて済むように、スクールバスを出してくれる、もちろん放課後児童クラブはいつでも空きがあり利用可能。そんな恵まれた子育て環境を埼玉県は用意してくれている。それなら素晴らしいことだと思うが、莫大な予算とマンパワーが必要になる。本当にできるのか自民党と言いたいところである。
別の面から考えてみよう。周りに常に大人がいる環境が、子供にとって本当に良い環境なのかという疑問がある。子ども同士で遊んだり、子ども同士で登下校することに全くリスクがないとは言えない。それでも、子どもたち同士の中で子どもは危険を学んだり、社会性や自主性を学んだりするのではないかと思う。常に周りに大人がついていて、あれこれ指示しないと動けない指示待ちロボットのような子供を量産したいのだろうか。
保護者の立場から考えても問題は多い。近年は共稼ぎ、シングルマザー、シングルファザーも増えている。登下校も塾や習い事も、放課後の時間も、埼玉県が一才子どもの面倒を見てくれればさほど問題ないのであろうが、実際は違うだろう。保護者にいつもそばに居ろという趣旨なのは明白である。例えばここに、シングルマザーあるいはシングルファザーがいたとして、子どもを学校まで送っていって、それから仕事に行く。子供に学校が終わる前に仕事を終え、子供を学校に迎えに行き、公園に遊びに行くのにも一緒について行く。もし、自分に通院や急な用事ができても子どもをずっと連れて歩かなければならない。そう考えると相当非現実な話だと思う。
これはもしかしての話だが、埼玉県の自民党県議団の皆様は、家に祖父母と母親が常にいる家庭しか想定できない残念な数多しか持ち合わせていないのかもしれない。現在、父親だけの稼ぎでは食べていけない家庭も多いし、3世代同居がうまくいかない家庭やシングルマザー、シングルファザーも多い。子どもの安全は非常に大事だが、社会全体で子育てを支援して行き、保護者に過剰な負荷をかけないこともまた大切である。
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