たまには少し古いクルマの話でもしてみるか〜トヨタ Opa
人間とは分類することが好きな動物である。学問の始まりは分類とも言え、動物や植物に始まり、人種、民族、宗教、いろいろなものを分類してきた。クルマについても同じで、形状や使用目的から、セダン、ステーションワゴン、ハッチバック、クーペ、コンバーチブル、ピーブルムーバー(ミニバン)SUVなどの分類がされている。とはいえ、これらの分類のどれに当てはめて行けばわからないクルマも多く存在した。そのひとつが、トヨタOpaだろう。
Opaはビスタアルデオをベースに作られたクルマである。先代のビスタから一気に100mm全高を上げ、広い室内を実現したモデルであった。今の基準でも全高1500mmのセダンやステーションワゴンは背が高いと思うけれど、当時は1300mm台が普通だったから、初めて見た時にはかなり驚愕した。広い室内には感心したが、若干デザインの面では損をしていたような気がする。これをベースに新しいカテゴリーのクルマとして作られたのがOpaである。このクルマは、ビスタアルデオの全長を思いっきり短くして、背を少しだけ高くし他だけではない。色々と新しい要素を詰め込んだ意欲作であった。4250mmの短い全長に2700mmのホイールベース。そして1525mmの全高。これだけでこのクルマが狙っていたことがわかるだろう。コンパクトなサイズに大きな室内空間、しかも最近のスーパーハイトワゴンのような無駄な頭上空間ではない。実際に使える広さを狙ったものである。リアシートにはスライド機能があるから、4人でゆったり乗ることも、2人で荷物をたくさん積むことも可能である。そしてこの時代のこの手のクルマのお約束としてコラムシフトの採用で、左右のウォークスルーを可能にしている。そして最大のウリは、アバンギャルド(前衛的)なエクステリアだろう。今見てもなかなか優れたデザインだと思う。
このクルマの販売はあまり振るわなかった。その理由は2つあるだろう。アバンギャルドなエクステリアが購入をためらわせる面はあったと思う。人はわかりやすいもの、無難なものを好む。この時代は今よりその傾向が強かった。そしてもうひとつはこのクルマがカテゴリー分けしずらいことがあったのだろう。自動車雑誌は今よりも影響力があった時代、ユーザーは雑誌の記事を参考にクルマを購入している人が多かった。コンパクトさと実用性の高さがウリのハッチバックなのか、荷物が多く詰めることがウリのステーションワゴンなのか、それとも室内空間の広さと多人数乗車がウリのピープルムーバー(ミニバン)なのか、自動車雑誌も扱いに困っていた様子が伺えた。これは、コンセプトが近い、日産ティーノ、ホンダエディックスでも見られた現象である。結局、2005年、1代限りで販売終了になった。とはいえ、発売当初のキャッツコピー、「Opa the next」そのままのデザインやコンセプトは秀逸なものだったし、新しいカテゴリーにクルマを作ろうとするトヨタの意欲は高く評価したいと思う。
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