たまには古いクルマの話でもするか〜ホンダ S-MX
クルマが好きという人は、大抵速いクルマや高級なクルマが好きだという人が多い。私はそうではなく、便利で楽しいクルマが好きである。高級車には経済的な不平等の象徴として反発を覚えることがあったし、スポーツカーも、たまに乗る分にはいいが、毎日乗るには乗り降りは不便だし、にもつもつめない。そうなると普段使いに便利なアイディア満載の楽しいクルマが私にとっていいクルマということになる。
一見不真面目そうなヤツがなかなか見どころがあるヤツだったということはよくある話だが、クルマについてもそれはあり、ただのチャラいやつかと思っていたら、それはそれで見どころのあるヤツだった、それがこのS-MXである。このクルマが誕生したのは1996年、この頃は人口ボリュームの多い団塊ジュニア世代が車を購入する年齢になっていて、この世代に売れるクルマということはどのメーカーも血眼になって探していた時代。しかもこの時代は、それまで売れ筋だったセダンやクーペの人気が急降下した時代、新しい売れ筋商品を模索しては市場に提案していた。ホンダは、オデッセイ、ステップワゴンなどで成功して、さらにこのS-MXで勝負に出た。このクルマのキャッチコピーは「恋愛仕様」、前後の座席を倒せば、ダブルベッドになるという斬新なシート配置が話題になった。
私ももうそんな年齢ではないから最近の状況はわからないが、かつては週末の夜景な綺麗な駐車場や海の近くの駐車場では夜になると車内で愛を深め合う人のすがたがよくみられた。ホンダはそのような使い方をユーザーに提案したものだったいわゆるデートカーと呼ばれるクルマは多くあったが、ここまでストレートにアピールしたクルマは史上初であり、ひょっとしたら最後かもしれない。このようなクルマが売れた時代は日本が今よりももっと若々しくて元気だった時代なのだろうと思う。
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