働かざるもの食うべからずか?
先日Xでとある方と論争をした。テーマは権利は義務を果たさないものには与えられないのかであった。彼のいうことには、人権は義務を果たさないものには与えられないというものであった。ここで言う義務とは、納税の義務、その中でも消費税を除く税金を納めることができた者だけに人権は与えられると言うものだった。どうして消費税は除くのかと彼に問うと、明確な答えは示されなかったが、彼のそれまでの発言から想像すると、働かなくても食料品や日用品を購入すれば消費税は払わなくてはならないから国民の義務を果たしたことにはならないそうだ。それなら酒税やタバコ税はいいのかと突っ込みたくなるが、そんなことは愚問だろうから黙っておいた。
義務を果たした者には権利が与えられ、義務を果たさないものには権利が与えらない。こうした考え方は一見正しいようだが、見方を変えれば極めて危険な考え方にもなる。それでは、彼が言う消費税以外の納税の義務について少し考えてみよう。納税を納めると言うことで多くの人が連想するのは消費税と所得税だろう。このうち消費財は働かなくても食料品や日用品を購入すればかかる税金だから義務を果たしたことにはならない。最低限、働いて所得税を納めたものが義務を果たした者とされ、一人前の社会の構成員として人権を認められる、おそらく彼はこう言いたいのではないかと思う。
もちろん、憲法で勤労の義務や納税の義務は規定されているし、働くことは自分の生活費を稼ぐことだけでなく、他の人の生活を支え、社会を維持し、発展させることに繋がるし、私たちが納めた税金は公共サービスを維持し、社会インフラを整備することには欠かせないものであることは十分承知している。しかし、子どもはまだ働くことも消費税以外の税金を納めることは困難だし、高齢で労働をすることが難しくなった人もいるだろう。あるいは病気や障害でそもそも労働に耐えられない人もいる。そのような方の人権を認めないというのはあまりにも酷い仕打ちだと思う。
おそらく彼は、人権について言論の自由や表現の自由などいわゆる精神の自由に限定して考えているフシがある。仮にこれらに限定したとしても、子どもだから発言するな、高齢者だから黙っていろ、病気や障害があって働けないから俺たちの言うことを聞けというのはあまりにも残酷だろう。彼はいずれ自分が高齢者になったり、かつて自分が子どもであったり、あるいは病気や障害で働けなくなったりすることを想像できないのかもしれない。その時に、黙っていろ、意見を言うな、俺たちに黙って従えと言われたらどんな気持ちになるのだろうか。当たり前のことだが、誰にでも人権はある、これは今の時代当然のことである。
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