海軍カレーと走水の黄金鯵
昔、日産の初代セフィーロのテレビCMのキャッチコピーが、「食う寝る遊ぶ」であった。なかなか秀逸なキャッチコピーで、バブル景気で束の間の余裕を手にした日本人に刺さるものだったと思う。今回の旅とセフィーロは関係がないが、「食う寝る遊ぶ」を「食う乗る遊ぶ」にすると旅の重要な構成要素になる。前回は「乗る」を扱ったから、今日は「食う」を扱いたい。
横須賀の美味いものというと、多くの人が海軍カレーを連想するだろう。横須賀駅で電車を降りると、私たちは潜水艦や護衛艦を見ながら少し歩き、早速海軍カレーを食べることにした。海軍のレシピにカレーライスが乗ったのは1908年である。海軍では当時多かった脚気対策に食事の洋風化を進めていて、その流れでカレーライスも取り入れられた。太平洋戦争の敗戦で海軍は消滅したが、海上自衛隊でもカレーライスは引き続き取り入れられ、現在でも艦船ごとの独自のレシピがあるという。このような背景から横須賀のほか大湊(青森県むつ市)や呉では海軍カレーや海上自衛隊カレーが名物になっている。私たちが入った店はビュッフェスタイルになっている。カレーは海軍カレーのほか海上自衛隊カレー、キーマカレー、チキンカレーがあり、全種類食べてみたが、あまり辛くなくコクがある海軍カレーが一番美味かった。
その日の夜は観音崎の近くにある走水海岸にある旅館に泊まった。魚はどれも美味かったが、ここの名物である黄金鯵が脂の乗りも良く、歯応えも良く、ひときわ美味かった。改めて東京湾の豊かさを実感した。中居さんが欧米系と思われる女性でこの人が愛想よく対応してくださり、旅の仲間と楽しく語らい、食べ、そして飲んだ。夜は窓の向こうに東京湾が広がり、その向こうには街明かりが見えた。千葉か市原かと思ったが、後で地図を見たら横浜だったようだ。翌日の朝食にも開きにした鯵が出でこれも美味かった。鯵だけに味をしめた私たちは、昼食にも鯵フライを食べた。人生においてこれほど味を食べたことはない。
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